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FreeHand VS CS4 [FreeHandで行こう!]

FreeHandで行こう!】その25( FreeHand VS CS4 その1)です。

このシリーズでは、FreeHand の優位性を紹介してきました。
FreeHand の情報を求めている方や、Illustrator ユーザーの方にも、お役に立てれば幸いです。

今回は、新発売される Illustrator CS4 や InDesign CS4 が、どれほど FreeHand MX の機能に追いついてこれたのかを検証したいと思います。
初めてお越しの方は、FreeHand 総集編か、カテゴリーTOPも 是非ご覧下さい。

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また、写真が表示されない等、表示がおかしい場合はこちらから再読み込みして下さい。

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FreeHand と Illustrator は 常に比較されてきたライバルソフトであり、新機能の特許紛争では再三裁判沙汰に発展していました。
おおむね FreeHand が搭載した新機能を、Illustrator が後追いするという図式でしたが、5年程前に裁判の和解が報じられたと思ったら、ほどなく買収が発表されました。なんと、金の力で押し切ってしまったのです。(特許技術の使用停止を要求された Adobe が和解を申し入れ、あろう事か会社まで乗っ取ってしまいました)

ADOBE が Macromedia の買収を発表した時、多くの関係者は Flash 目当ての買収と報じ、そして FreeHand の行く末を案じました。
Flash や Dreamweaver は、業界で圧倒的なシェアが有ったため、そのまま残るだろうと言われましたが、FreeHand はシェアも低く、ADOBE 創業時からの看板ソフトである Illustrator のライバルソフトであったことや、特許がらみの因縁(逆恨み)もあったことから、抹殺される運命になるだろうと言われました。
案の定 それは現実のこととなり、ADOBE は CS3 発表の日に FreeHand の開発終了を宣告してしまいました。


その後、FreeHand ユーザーには、Illustrator CS3 へのアップグレード(ダウングレード?)が用意されましたが、機能に勝っていた FreeHand の代わりは、Illustrator には勤まらないという不満が噴出したのは言うまでもありません。
付録-4(Dear Adobe)に紹介したように、アメリカ本国でも その不満が渦巻いています。かく言う私も、このようなブログを始め、 FreeHand ユーザー最後の意地を見せているところです。
(喜んだのは、店頭在庫の FreeHand を安く買えば、Illustrator を新規に買うよりも安くアップグレード出来ると考えた、似非ユーザーぐらいなものでしょうか。私に言わせれば、ダウングレードです。馬鹿げた話です。)

まぁ、それはさておき、最新版が発表されたばかりの Illustrator CS4 です。
Illustrator CS4 は、バージョン14。対する FreeHand MX は バージョン11 ですから、すでにバージョン3つ分開いてしまいました。実に5年の開きです。(コンピュータ関連で、5年の開きは実に大きいですけれども....)

しかし、バージョン13の CS3 でさえ FreeHand と比較した場合、まだまだ FreeHand のほうが優れていると当ブログでは主張してきました。
そんな馬鹿なと思われる方は、過去のブログをご覧下さい。どこを切って見ても、FreeHand の優位性は揺らぎません。(もちろん私の基準から見てですけど。反論おありの方はどうぞ投稿して下さい。)
今回の最新版 CS4 では、FreeHand を買収し、特許も独り占めしてから十分な開発期間が有った訳ですから、どこまで迫って来れたのか大いに興味あるところです。

前振りが長くなってしまいました。以下、Illustrator CS4(体験版)を使用しての感想です。


■新機能1:今回一押し機能の「複数のアートボード」って...

複数ページ編集機能を持つアプリケーションのインターフェースは、通常、InDesign や Quark、パワーポイントのように、同じ規格のページを複数持つだけのものでした。
しかし、FreeHand のマルチページ機能は異彩を放っており、ページサイズや縦横の向き、位置関係などもページ毎に設定出来る柔軟なもので、まさに机の上に、自在に書類を並べて作業すると言うものでした。
俯瞰的に全体を眺めたり、隣の書類にそのままオブジェクトを移動させたり、検索置換やテキストリンクもそのまま複数ページで使えました。単ページしか作成出来なかった Illustrator や、複数ページ作成出来る他のソフトにも無い使い勝手の良さが独創的・圧倒的でした。
今回の Illustrator CS4 では、その仕様がそのまま採用されています。(持っていかれちゃいました..)

しかし、少し触っただけですので断言はできませんが、やはり採用したての新機能と言うこともあり、使い勝手が良いようには感じられませんでした。
例えば、ページ移動のショートカットが無い(設定も出来ない?)。通常矢印キー等に設定出来ます。ページ物編集には必須です。いちいち左下の小さなボタンでちょこまかやってられない。
また、ページ規格の変更は、ドキュメント設定ダイヤログから入っていかないと操作出来ない等。
いかにも、後付けの機能と言う感じで、核になる機能と言う位置付けにはなっていない感じ。
これでは、Illustrator ユーザーは、複数アートボードの恩恵を享受する以前に、面倒くさくて 使いこなそうと言う気持ちにならないのではと心配してしまう程です。

その点 FreeHand なら、ショートカットで高速にページ移動出来るし、ページ複製も追加もワンボタンで出来ますよ。
さらには、マスターページ機能、ページ間リンク機能、さらに、さらに、、、と、歴史が違いますからね。
FreeHand にマルチページ機能が搭載されたのは、バージョン4でした。その後、ブラッシュアップしながら使い易さ、生産性を高めていった訳ですから、CS4 で 一朝一夕にとはいかないと言うことでしょうね。(それとも、小刻みなバージョンアップで儲けるつもりですか?)

ともあれ、今回の新機能「複数のアートボード」は、付録-7の時に皮肉った通り、やはり FreeHand バージョン4 の初期のマルチページと同程度の機能でしたと言うことを報告しておきます。FreeHand のような生産性の高さを実現していくには、まだまだバージョンアップを繰り返さないと追いつかないのでしょうね。


■下は FreeHand8 による HTML パブリッシュ用のマルチページ。ページサイズは原稿量に合わせて変えています。
 リンクも全て設定済み。書き出したHTMLは Dreamweaver互換ファイルとして再編集も可能です。
 HTML書き出しは色々問題が無い訳ではありませんが、それでも充分使える機能です。
MultiPage_HTML.jpg

■FreeHand MX による .swf書き出し用マルチページ。.swfファイルを読込んでレイアウトでき、ActionScript も FreeHand 内で記述しています。PowerPoint データを元に、さらに複雑な動きを付加して、.swf に書き出します。
MultiPage_swf.jpg
FreeHand のマルチページは、FLASH のキーフレームと同じ扱いになります。レイヤーもフレームとして扱われます。
読み込んだ .swf ファイルは、ムービークリップとして扱われます。ムービークリップアクションは、そのまま実行されます。フレームアクションは、FreeHand 側で記述可能です。詳しくは、こちらをご覧下さい。


追記:
当機能を活用して iPhone・iPod Touch 風 操作可能な FLASHコンテンツを作成してみました。
サンプルファイルも用意しましたので、ダウンロードしての試用も可能です。→こちら

追記:
Illustrator の複数のアートボードから複数ページのPDF が一気に作成できるようになったのは良しとして、複数ページの PDF を読込ませようとしたら、、、読込ませるページを選択して下さいって?! せっかく複数のアートボードになったのに、一気に読込めないのかよ?! このあたりも一朝一夕に行かないところでしょうか? 代りばえがせんなぁ。生産性が低い。設計が未成熟。 FreeHand なら複数ページごと読み込んで一気にマルチページドキュメントにしてくれるんですけどねぇ。 →注目!! 201ページのPDFを開いてみました。




■新機能2:グラデーション表現力

FreeHand のグラデーション表現力も 持っていかれたのかなぁとチェックしてみましたが、インターフェースが似た感じになっただけで、グラデーションのバリエーション等は、従来の線形・放射状の2種類のままでした。(ホッ)
元々、Illustrator のグラデーションは、設定範囲が乏しかったため、パワーユーザーなどは メッシュを多用しグラデーションは使わなくなったと言う人もいますから、今回少し柔軟になったのは歓迎されるのでしょう。

但し、FreeHand ユーザーからすれば、やはり貧弱なものに映ります。ただ、グラデーションの塗りに透明が設定出来るようになったのは FreeHand でもラスターエフェクトに頼るしか無く、便利だと感じました。


■FreeHand 標準のグラデーションバリエーション。ハンドルで変形出来るインターフェースが CS4 に採用されたようですね。ちなみに、FreeHand のグラデーションカラーの変更は、直接ドラッグドロップで出来ます。
Nuri.jpg

■FreeHand のグラデーションに透明を設定する場合は、ラスターエフェクトのグラデーションマスクを使います。ドロップシャドウ等にも適応できます。パレットの表示が解り易いですねぇ。ちなみに、アピアランスの一元管理インターフェースも CS4 に今回採用されました。
Effect.jpg

にしても、Illustrator の塗りって、ベタ塗りと、グラデーションと、メッシュの間には柔軟な互換性が無いですねぇ。
FreeHand の開発者が設計していたら、もっと柔軟に設計していただろうにと思ってしまいます。
実際、塗りの属性が維持できないと言った愚痴を、Illustrator ユーザーから良く聞きます。



■新機能3:塗りブラシツール

新しく導入された「塗りブラシツール」も、FreeHand のカリグラフペンツールや可変ストロークペンツール、自由変形ツールなどの機能に似たものですね。

■FreeHand の自由変形ツールは、「ローラー」をブラシのストロークと見れば、内側からは塗りブラシとなり、外側からは消しゴム風、パス上ではポインタになるという、七変化ツールです。(CS3に導入された消しゴムツールも、FreeHand からの移植でしたね)


上記デモ、もちろん ツールを持ち替えているのではありません。ツールが勝手に変化してくれます。
(movie は、RSSなどの、.xml .rdf ページではご覧頂けませんので、正式なページでご覧下さい)


■FreeHand のカリグラフペンツール(上)と、可変ストロークペンツール(下)。FreeHand 5 に導入された当時から、ワコムの筆圧感知ペンタブレットに対応していました。
pen.jpg
筆圧感知タブレットが無い場合は、矢印キー操作で、ストロークを変化させられます。

Path2.jpg
交差部分の色を抜いたり、重なったパスを削除することもワンボタンで出来ます。


以上、取り急ぎ CS4 の新機能として3つ紹介されていたものについて、FreeHand と比較してみました。
今回 CS4 に新搭載された新機能は、全て FreeHand から移植されたものと言っても過言ではありません。しかも Illustrator の仕様に合わせて一部グレードダウンされてしまったとも言えるものです。(勿論、グラデーションの透明設定のように新しくなった部分も無くは無いですが...)

まだ、さっき体験版をインストールしたところなので、今回の報告はここまでです。追々追加していきたいと思います。
興味ある方はお付き合い下さい。


***


FreeHand VS CS4 と言うタイトルについては、あまり適切な表現ではありませんが、その昔から、FreeHand VS Illustrator と言う記事を良く雑誌で見かけていましたので、あえて付けてみました。別に敵対する訳ではないですけどね。FreeHand ユーザーの視点から見た機能比較と言うことで。5年前のソフトなのに、最新のCS4と比較しても ホントによく出来ていますねぇ FreeHand は。(自賛 (^^)V

あまりの出来の良さに、ADOBE に目の敵にされ、不幸な結末に追いやられてしまいました。出る杭は打たれるというヤツですか? Illustrator は、今後、FreeHand の機能や特許を少しずつ吸収しながらバージョンアップを重ねるのでしょうね。ADOBE が考えるソフトウエアの進化ってなんなんでしょう???
バージョンアップの度に FreeHand に近づいていくのなら、最初から Illustrator を廃止して、FreeHand に一本化すれば早かったですのにね、ADOBE さん。FreeHand の機能に追いつくのは、CS7 ぐらいですか?

また、ついでに書けば、FreeHand の直感的なインターフェースに比べて、Illustrator のインターフェースは数値入力中心だから正確な作図が出来るんだと言う人もいますが、もちろん、FreeHand で直感的に作成したものは、全て数値で制御されていますので、いつでも数値調整できるという事は書き加えておきます。それどころか、Illustrator は、数値入力ウインドウで2つ以上の計算(例えば10+10+10のような計算式)を理解できませんが、FreeHand は、複雑な計算式も正確に処理しますよ。当たり前すぎて、あえて書くほどのことではないですけれどもね。


Dear Adobe の書き込みにも、Illustrator も InDesign も10年前のバージョンのFreeHand にも及ばないとまで書き込まれていました。確か、マルチページに関連する書き込みでしたが。私もそう感じています。比較すればする程に。今回、マルチページに関しては ようやく同じ土俵についたので、その10年の開きは数年で挽回してくるんでしょうけども。まぁ、バージョンアップ売上げ目当てに、少しずつ機能を小出ししてくれたら、FreeHand はまだまだ当分安泰なので、私はそのほうがいいんですが。

また、前々回のブログタイトルで、FreeHand>CS4 と付けていたら、私の主旨を汲んでくれた方が「Illustrator CS4 は FreeHand に及ばない」という過激なタイトルで紹介してくれていました。実は、私もそういうタイトルにしたかったんですけれども少し遠慮してしまいました。ズバリ書いていただきありがとうございます!


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デザインは、ソフトウエアが作る訳ではありません。
その意味で、アプリケーションにこだわりすぎたり、頼り過ぎるのは本末転倒とも言えます。
しかし、FreeHand のようなソフトは、真っ白な紙に絵を描いていくような使い方をするものであり、パソコンが自動的にCGを生成していくようなものではないため、自分の手のように自在に使える使い勝手のよさが強く求められます。
さらには、パブリッシュへの制約を意識させない懐の深さも。

FreeHand は、そのネーミングの通り、制約の少ない自在な手としての一つの解答を見せてくれています。
多機能と言っても、無駄な機能はなく、使い勝手を良くするための機能と、パブリッシュに対する制約を無くしていくための機能が見事に両立されています。
このソフトの進化は、単に機能への固執ではなく、理想への必然だったのだと思います。
生産性の高さ、操作負担の少なさ、作業に対する汎用性の高さで、今なお、抜きん出た存在であると今回再確認した次第です。



今回は、FreeHand VS CS4 その1 でした。 多分、その2、その3 に続きます。
   →その2 <気の利かない CS4> アップしました。


追記:20100414
   →FreeHand vs CS5 アップしました。 CS4 に続いて CS5、どうよ。 ぜんぜん負けてへんで!



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