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FreeHand _付録-6 <ワンソースマルチパブリッシュ> [FreeHandで行こう!]

FreeHandで行こう!】その22(付録編-6<FreeHand 授業>です。

このシリーズでは、FreeHand の優位性を紹介してきました。
FreeHand の情報を求めている方や、Illustrator ユーザーの方にも、お役に立てれば幸いです。

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私が FreeHand を使い始めた最初の頃(17年前になります)から、日本での業界シェアは Illustrator 寄りで、FreeHand は少数派でした。理由は、当時の MAC販売大手だった Canon販売と Too.が ADOBE の代理店だったため、MACとセット販売していたのに対し、FreeHand は ALDUS日本法人が単独で扱っていたため普及に差がついたものと考えられます。
デザイン事務所が Canon販売や Too.からMACを買えば、自動的に Illustrator がセットになっていた訳ですから普及しないはずが無かったとも言えますね。

たまたま導入の初期に両者を比較するチャンスに恵まれた私は、迷わず FreeHand を採択したのですが、多くのデザイン事務所は、そのような選択の余地もなく、営業に薦められるまま Illustrator街道まっしぐらということになったようです。
当時、競合のデザイン事務所が Illustrator を使っていることに対し、FreeHand 派の私は、どこの事務所も FreeHand を知らないままでいてくれよと願ったものでした。Illustratorに対して圧倒的なアドバンテージが有った FreeHand を、独り占めしておきたいと願ってのことでした。(こういう思いの FreeHand ユーザーは結構多かったようです。)

しかし、これはまずいなと思い始めたのは、ADOBE が FreeHand に対して1度目の買収をしかけ、FreeHand の将来に不安が広がった頃からでした。幸い、裁判で勝訴した FreeHand開発グループは FreeHand をADOBEから取り戻し、Macromind 社と合併して Macromedia 社を立ち上げた訳ですが、その間 開発の止まっていた FreeHand のシェア低下は免れませんでした。
特に日本では、仲間を増やさないことには、ローカライズもままならないという現実に直面したのです。(実際、Ver.4は、英語版のみ発売で、日本語版は見送られました。その間に、Illustratorは Ver.5 日本語版が発売されていました。)
その後私は、微力ながらも FreeHand セミナーや MdN誌などへの執筆で FreeHand の啓蒙活動をしてきましたが、時すでに遅しでした。(当ブログなど、2008年からですから全くの手遅れですね..)

そんな中、こともあろうに公立高校から、デザインの授業に客員講師として FreeHand を教えて貰えないかというお話をいただいたのです。(今年の話です。)
すでに、ADOBE に2度目の買収をされ、開発中止を宣告されてしまったソフトなのに、将来のある高校生に FreeHand を教えるなんてあり得ないとお断りしましたが、高校で Illustrator を教えてられる先生が、FreeHand のアドバンテージに着目され、「これは、生徒達にとって大変魅力的なソフトだ」と強く推薦していただきました。
一応、殺し文句は、「公立高校は専門学校とは違って Illustrator の訓練をするところではないんですよ。特定のアプリケーションに偏るのではなく、デザインアプリケーションの可能性のすごさを生徒に見せてあげたいから」とのことでした。いやいや、まさにこのブログで書きたいことに通じる部分だったんですね。
以前、こちらのブログにも、FreeHand は、Illustrator の未来の姿を垣間見せているという点で、Illustrator ユーザーにこそ興味を持っていただきたいと書いたことがありました。

FreeHand の使い方がどうのこうのということではなく、デザインアプリケーションの、最も進化した使い方を若い生徒に感じてもらえればという気持ちでお引き受けすることになりました。


授業のテーマは、「ワンソースマルチパブリッシュ」
当ブログでも、再三テーマにしてきましたが、実際、FreeHand ほど高い次元で「ワンソースマルチパブリッシュ」を実現しているソフトを私は他に知りません(細かい点には目をつぶるとして)。
若い生徒達には、このソフトの可能性、ひいてはデジタルでデザインすることの可能性を、汎用性の高さを実感してもらえればと考えました。

1回 2時間の授業×5週でワンクール。先般ワンクールを済ませてきました。
初めてのソフトに戸惑いながらも、全員がマルチページにリンクを張り、ズームトランジションとズーム機能を持たせた、弊社のホームページ に準じた FLASH コンテンツを作成しました。
私も教壇に立つのは初めての経験で思うように進めることは出来ませんでしたが、合計10時間で、初めて使うソフトで、これだけのものが作れるということに可能性を感じてもらえたのではないかと考えています。


Image05012.gif
■ちょっと旧い(2000年頃作成 Ver.9の時代)概念図ですが、当時から FreeHand はワンソースマルチパブリッシュを志向していました。


授業のテーマ「ワンソースマルチパブリッシュ」は、一つの FreeHand ソースから、リンクの生きた PDF、FLASH、HTMLの各コンテンツが作成できるという趣旨のものです。細かい点では、色々問題もあるのですが、それらを体験することでファイルフォーマットの違いや仕様の違いも理解できるだろうとの考えがありました。
中には、動画の貼り込み方はどうするのかと積極的に質問してくる生徒もいましたよ。
こちらのブログにも追々ノウハウを開示していきたいと考えています。

まだ FreeHand のようなマルチパブリッシュを実践できるソフトは 他にはありませんが、若い高校生達が実社会に出て活躍する頃には、相当高い精度で実践できるようになっているかもしれません。(それが FreeHand でないのが悔しいですが)
そんな「可能性」を経験できたと思ってくれていればうれしいんですけれども。


今回は、付録-6<FreeHand 授業>でした。 付録-1 -2 -3 -4 -5 はこちら

   →付録-7 FreeHand>CS4 アップしました。

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FreeHand _付録-7 <FH4=AICS4??> [FreeHandで行こう!]

FreeHandで行こう!】その23(付録編-7 FreeHand>CS4 です。

このシリーズでは、FreeHand の優位性を紹介してきました。
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ついにというか、ようやくというか、Illustrator CS4 が発表されました。英語版は既に出荷されていましたが、あまり興味がなかったので内容は日本語版が発表されてから見てみようかと ほっていたのですが、今日、新機能を見てびっくり。 まんま FreeHandもどき ではないですか!!(そりゃ、FreeHand を買収して、技術や特許をそのまま吸収したんだから当然といえば当然だけど... にしても、どうなんでしょうねぇ。)

「マルチページ」を「複数のアートボード」と呼び変え、グラデーションやグラデーションマスクも FreeHand の機能にようやく近づいてきたかなという感じ?
まぁ、複数ページにしろ、グラデーションの表現力にしろ、他のソフトに比べて Illustrator は かなり遅れていた訳だから、ようやくというところでしょうね。 当ブログでも、いずれ FreeHand の機能が Illustrator に新機能として取り込まれていくだろうと書いてきました。 FreeHand MX には、未来の Illustrator を垣間みることが出来るとも。

まだ、体験版も用意できていないようなので、試用できていませんが、「複数のアートボード」の概念は、FreeHand のマルチページそっくりそのままですけど、ページ間リンクやマスターページの機能はあるんでしょうか? .swf ファイルの読み込みやアクションスクリプトの記述等も特にアナウンスされていないので、ようやく複数ページになっただけというように感じましたが。ならば、この辺りの機能に関しては ALDUS 時代の FreeHand Ver.4 と同レベルなんでしょうかね。

AI_CS4.jpg
■祝! マルチページ(改め 新機能 複数のアートボード) 思わずバンザイです。


当ブログでは、FreeHand と Illustrator を比較しながら、FreeHand の優位性を説いてきました。
確かに、Illustrator の方が進んでいるところも無い訳ではないですが、圧倒的に FreeHand の方が進化していたのは、当ブログを正しく理解していただける方には疑いの余地は無いものと思います。

FreeHand を買収してから開発された CS3の新機能は、FreeHand MX の枝葉的な機能しか取り込めてないと書いてきましたが、ようやくCS4では、肝の部分にもメスが入って来たようです。
しかし、Illustrator が「複数のアートボード」を手に入れたからと言って、すぐに FreeHand と肩を並べるようになる訳では無いでしょう。ようやく、FreeHand と同じ土俵に立ったというところだと思います。
前回書いた、マルチページを活用しての「ワンソースマルチパブリッシュ」と言う部分では、まだまだ FreeHand MX には追いつきそうにないですからね。それでも、いままでの Illustrator と比較すれば、相当生産性が上がるのは間違いありません。それは何よりです。


しかし、逆に、CS4の「複数のアートボード」に対して、そんなものは必要なのか? という書き込みも見つけました。
FreeHand 4 にマルチページが導入された際にも、保守的なユーザーからは そのような声が聞かれました。
確かに、1枚もののイラストしか作らないユーザーに取ってはあまりメリットを感じないのかもしれません。(実際には、ページを増やしながら、アイデアや描き方を追加していけるため重宝すると思いますけどね。)
でも、それ以上に、使うにつれて アプリケーションの幅・可能性が広がることにワクワクするようになっていくでしょう。

Illustrator ユーザーが、それら機能に対して本当に利便性を感じはじめ、さらには FreeHand が実現していた ページ間リンクや、アクションスクリプトの読み書き、.swfファイルの配置...と言ったマルチページ機能をさらに有用なものへと昇華させていくオプション機能の重要性に気付き 求めるようになるまでには、新バージョンに慣れる時間と、まだ何度かのバージョンアップを果たす必要があるんでしょうね。( FreeHand も先走りしすぎてユーザーがついていけなかったというのも否めませんでしたから..)

ちなみに、FreeHand は、15年前の Ver.4 で今回の Illustrator CS4 が採用したのと同じ「複数のアートボード」機能を搭載してから、Ver.11の MX までの約10年間 マルチページ機能をブラッシュアップしながら他のソフトには見られない独特な進化を遂げて来ました。そこに見られる卓越した利便性とはどういうものかピンとこないと言う方は、当ブログの こんなに違う! FreeHand や、知らぬは損! FreeHandFreeHand_FLASH編FreeHand_総集編 を是非ご覧ください。そこには Illustrator ユーザーのまだ知らない、Illustrator の未来の姿を垣間みることが出来るでしょう。


今回の副題 FreeHand>CS4 は、ちょっと挑発的ですが、まだまだ FreeHand のほうが Illustrator CS4よりも勝っているぞという、私からのメッセージです。
FreeHandで行こう! どっこい、まだまだ追いつかれはしませんよ〜!!

Illustrator CS4 の体験版が出荷されたら、FreeHand から見た比較記事を書いてみたいと思います。
興味ある方はおつきあいください。


今回は、付録編-7 FreeHand>CS4 でした。 付録-1 -2 -3 -4 -5 -6 はこちら

   →付録-8  Illustrator 体験版の出荷がまだなので、InDesign SC4 のコメントを追加しました。
   →FreeHand VS CS4 アップしました。どうよ。


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FreeHand _付録-8 <InDesign CS4??> [FreeHandで行こう!]

FreeHandで行こう!】その24(付録編-8 < InDesign CS4 も!>です。

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先般、Illustrator CS4 について少しコメントを書きましたが、「InDesign CS4 もかなり FreeHand 風になってるよ」との連絡をいただきました。

なるほど、マルチページにリンクを張って .swf や.html などのWEBデータが書出せ、そのまま .pdf にもリンクを活かしたまま書出し可能。 って、まんま FreeHand のワンソースマルチパブリッシュそのものやんか!(残念ながら、FreeHand の PDFは、ローカライズ対応が見送られたため日本語は文字化けしますが、ページリンクはそのまま生きるんですよ。英語なら問題無し)

確かに、Quark の最新版でも、ページリンクを活かした .swf へのパブリッシュが採用されていたので、こうなるのは時間の問題とは思っていましたけどね。

にしても、.swfの読み込みなどはアナウンスされていませんが、その辺りは未対応なんでしょうかねぇ。
せっかくFLAファイルへの書き出しに対応出来たのに、.swf が読込めなければ、FLASHからのフィードバックが出来ないではないですか! FLASH に渡したら 後はそっちでやっといてでは、InDesign からのパブリッシュで完結出来ない。その辺りの柔軟性では、やはり相互にやり取りの出来る FreeHand に、いまだに分がありそうですね。対応出来たと言うのと自在に出来ると言うのは、違うんです。

ちなみに、InDesign CS4 機能紹介ページの新機能「デジタルドキュメントをすばやく作成」にあるようなサンプル(下の画像)は、FreeHand MX がもっとも得意とするパブリッシュコンテンツです。(5年前の機能ですよ〜)
InDesign.jpg
■このサンプルは、付録-6で書いた FreeHand 授業で課題にしたマルチパブリッシュコンテンツそのものです。


なるほど、ADOBE の考え方が見えてきますね。InDesign では、ページリンクを活かした「ワンソースマルチパブリッシュ」を担当させ、Illustrator にはページリンクは与えない。FreeHand のように使いたければ、両方買えってことですね。

もともと、Illustrator と InDesign を合体させれば、FreeHand の機能に近づくとは言われてましたけどね。
マスターページ、インライングラフィック、そういえば、ロックの扱いも InDesign は FreeHand 風でした。

でも、InDesign はドローソフトとしての表現力が不足しているし、Illustrator ではマルチパブリッシュが出来ないとなると、FreeHand から見れば、結局どっちも中途半端!! 常に両ソフトを入れ替わり立ち替わり使い分けないと目的を達成出来ないと言うのでは生産性が高いとは言えないでしょう。
多くのラインナップを抱える御家の事情からか、ユーザーの利便性を軽視して、機能を分散したとしか考えられない中途半端な進化のように感じます。 両方実現していた FreeHand を抹殺してまで自社製品にこだわって出した答えがこれなんでしょうかねぇ??

とはいえ、今回の CS4 シリーズは、単に Macromedia 製品との互換性を整えただけだった CS3 に比べれば、格段に進化してきたなという印象もあります。一応、Design Premium CS4 を注文したので、入手次第、実際に使用したレポートを書きたいと思います。FreeHand MX にどれだけ追いついてこれたのか、見てあげましょうぞ!


、、、まぁ、かなり憎まれ口を書きましたが、CS4 には、Macromedia の(特に FreeHand の)DNA が色濃く反映されてきたので、少なからず期待はしているんですよ。
FreeHand から乗り換えるつもりは無いですけど、CS4 も使えるところは併用していかないと、こちとらも商売でやってますからね。世間とのファイルのやり取りもあるので、無視する訳にもいかない。
そこには FreeHand が入っていなくて、DNA しか感じられない(しかも、ほとんどの人にとっては、FreeHand の DNA と言うことも知られないまま オリジナルの新機能として迎えられる)ことに無念を感じつつ...。


次回は、実使用レポートかな。いつ入手出来るんでしょうかね、ADOBEさん。
Macromedia 時代は、外部スタッフとして ベータ版のテストもしていたので発売前から正確な情報が有ったんですけど、今は情報が無いんですよねぇ。もし間違った解釈をしている部分があるとしたならば、ご容赦下さい。後日訂正致します。



今回は、付録編-8< InDesign CS4 も!>でした。
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   →FreeHand VS CS4 追加しました。


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追記:体験版を使ってみました。一応、.swf は読込めるようにはなっていましたが、、、直感的にうまく使えないので、今のところ どのレベルで動くのか まだ検証できていません。
FLASH や FreeHand のように、command(WIN は control)+ return ではプレビューできないし、書き出しても動きませんでした(多分動くんでしょうけど、使い方が今のところ解らない。マニュアルにも詳しく書かれていないし....)
PDF への .swf 埋め込みと言う機能もありますから、そちらへの対応かもしれませんが。(未確認です)
あと ActionScript はどうなんでしょうかねぇ? そのあたり解明できたら改めて追記します。(検索で、InDesign に .swf は読込めるのか? というので当ブログに来られた方がいましたので、取り急ぎの追記でした)



FreeHand VS CS4 [FreeHandで行こう!]

FreeHandで行こう!】その25( FreeHand VS CS4 その1)です。

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今回は、新発売される Illustrator CS4 や InDesign CS4 が、どれほど FreeHand MX の機能に追いついてこれたのかを検証したいと思います。
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FreeHand と Illustrator は 常に比較されてきたライバルソフトであり、新機能の特許紛争では再三裁判沙汰に発展していました。
おおむね FreeHand が搭載した新機能を、Illustrator が後追いするという図式でしたが、5年程前に裁判の和解が報じられたと思ったら、ほどなく買収が発表されました。なんと、金の力で押し切ってしまったのです。(特許技術の使用停止を要求された Adobe が和解を申し入れ、あろう事か会社まで乗っ取ってしまいました)

ADOBE が Macromedia の買収を発表した時、多くの関係者は Flash 目当ての買収と報じ、そして FreeHand の行く末を案じました。
Flash や Dreamweaver は、業界で圧倒的なシェアが有ったため、そのまま残るだろうと言われましたが、FreeHand はシェアも低く、ADOBE 創業時からの看板ソフトである Illustrator のライバルソフトであったことや、特許がらみの因縁(逆恨み)もあったことから、抹殺される運命になるだろうと言われました。
案の定 それは現実のこととなり、ADOBE は CS3 発表の日に FreeHand の開発終了を宣告してしまいました。


その後、FreeHand ユーザーには、Illustrator CS3 へのアップグレード(ダウングレード?)が用意されましたが、機能に勝っていた FreeHand の代わりは、Illustrator には勤まらないという不満が噴出したのは言うまでもありません。
付録-4(Dear Adobe)に紹介したように、アメリカ本国でも その不満が渦巻いています。かく言う私も、このようなブログを始め、 FreeHand ユーザー最後の意地を見せているところです。
(喜んだのは、店頭在庫の FreeHand を安く買えば、Illustrator を新規に買うよりも安くアップグレード出来ると考えた、似非ユーザーぐらいなものでしょうか。私に言わせれば、ダウングレードです。馬鹿げた話です。)

まぁ、それはさておき、最新版が発表されたばかりの Illustrator CS4 です。
Illustrator CS4 は、バージョン14。対する FreeHand MX は バージョン11 ですから、すでにバージョン3つ分開いてしまいました。実に5年の開きです。(コンピュータ関連で、5年の開きは実に大きいですけれども....)

しかし、バージョン13の CS3 でさえ FreeHand と比較した場合、まだまだ FreeHand のほうが優れていると当ブログでは主張してきました。
そんな馬鹿なと思われる方は、過去のブログをご覧下さい。どこを切って見ても、FreeHand の優位性は揺らぎません。(もちろん私の基準から見てですけど。反論おありの方はどうぞ投稿して下さい。)
今回の最新版 CS4 では、FreeHand を買収し、特許も独り占めしてから十分な開発期間が有った訳ですから、どこまで迫って来れたのか大いに興味あるところです。

前振りが長くなってしまいました。以下、Illustrator CS4(体験版)を使用しての感想です。


■新機能1:今回一押し機能の「複数のアートボード」って...

複数ページ編集機能を持つアプリケーションのインターフェースは、通常、InDesign や Quark、パワーポイントのように、同じ規格のページを複数持つだけのものでした。
しかし、FreeHand のマルチページ機能は異彩を放っており、ページサイズや縦横の向き、位置関係などもページ毎に設定出来る柔軟なもので、まさに机の上に、自在に書類を並べて作業すると言うものでした。
俯瞰的に全体を眺めたり、隣の書類にそのままオブジェクトを移動させたり、検索置換やテキストリンクもそのまま複数ページで使えました。単ページしか作成出来なかった Illustrator や、複数ページ作成出来る他のソフトにも無い使い勝手の良さが独創的・圧倒的でした。
今回の Illustrator CS4 では、その仕様がそのまま採用されています。(持っていかれちゃいました..)

しかし、少し触っただけですので断言はできませんが、やはり採用したての新機能と言うこともあり、使い勝手が良いようには感じられませんでした。
例えば、ページ移動のショートカットが無い(設定も出来ない?)。通常矢印キー等に設定出来ます。ページ物編集には必須です。いちいち左下の小さなボタンでちょこまかやってられない。
また、ページ規格の変更は、ドキュメント設定ダイヤログから入っていかないと操作出来ない等。
いかにも、後付けの機能と言う感じで、核になる機能と言う位置付けにはなっていない感じ。
これでは、Illustrator ユーザーは、複数アートボードの恩恵を享受する以前に、面倒くさくて 使いこなそうと言う気持ちにならないのではと心配してしまう程です。

その点 FreeHand なら、ショートカットで高速にページ移動出来るし、ページ複製も追加もワンボタンで出来ますよ。
さらには、マスターページ機能、ページ間リンク機能、さらに、さらに、、、と、歴史が違いますからね。
FreeHand にマルチページ機能が搭載されたのは、バージョン4でした。その後、ブラッシュアップしながら使い易さ、生産性を高めていった訳ですから、CS4 で 一朝一夕にとはいかないと言うことでしょうね。(それとも、小刻みなバージョンアップで儲けるつもりですか?)

ともあれ、今回の新機能「複数のアートボード」は、付録-7の時に皮肉った通り、やはり FreeHand バージョン4 の初期のマルチページと同程度の機能でしたと言うことを報告しておきます。FreeHand のような生産性の高さを実現していくには、まだまだバージョンアップを繰り返さないと追いつかないのでしょうね。


■下は FreeHand8 による HTML パブリッシュ用のマルチページ。ページサイズは原稿量に合わせて変えています。
 リンクも全て設定済み。書き出したHTMLは Dreamweaver互換ファイルとして再編集も可能です。
 HTML書き出しは色々問題が無い訳ではありませんが、それでも充分使える機能です。
MultiPage_HTML.jpg

■FreeHand MX による .swf書き出し用マルチページ。.swfファイルを読込んでレイアウトでき、ActionScript も FreeHand 内で記述しています。PowerPoint データを元に、さらに複雑な動きを付加して、.swf に書き出します。
MultiPage_swf.jpg
FreeHand のマルチページは、FLASH のキーフレームと同じ扱いになります。レイヤーもフレームとして扱われます。
読み込んだ .swf ファイルは、ムービークリップとして扱われます。ムービークリップアクションは、そのまま実行されます。フレームアクションは、FreeHand 側で記述可能です。詳しくは、こちらをご覧下さい。


追記:
当機能を活用して iPhone・iPod Touch 風 操作可能な FLASHコンテンツを作成してみました。
サンプルファイルも用意しましたので、ダウンロードしての試用も可能です。→こちら

追記:
Illustrator の複数のアートボードから複数ページのPDF が一気に作成できるようになったのは良しとして、複数ページの PDF を読込ませようとしたら、、、読込ませるページを選択して下さいって?! せっかく複数のアートボードになったのに、一気に読込めないのかよ?! このあたりも一朝一夕に行かないところでしょうか? 代りばえがせんなぁ。生産性が低い。設計が未成熟。 FreeHand なら複数ページごと読み込んで一気にマルチページドキュメントにしてくれるんですけどねぇ。 →注目!! 201ページのPDFを開いてみました。




■新機能2:グラデーション表現力

FreeHand のグラデーション表現力も 持っていかれたのかなぁとチェックしてみましたが、インターフェースが似た感じになっただけで、グラデーションのバリエーション等は、従来の線形・放射状の2種類のままでした。(ホッ)
元々、Illustrator のグラデーションは、設定範囲が乏しかったため、パワーユーザーなどは メッシュを多用しグラデーションは使わなくなったと言う人もいますから、今回少し柔軟になったのは歓迎されるのでしょう。

但し、FreeHand ユーザーからすれば、やはり貧弱なものに映ります。ただ、グラデーションの塗りに透明が設定出来るようになったのは FreeHand でもラスターエフェクトに頼るしか無く、便利だと感じました。


■FreeHand 標準のグラデーションバリエーション。ハンドルで変形出来るインターフェースが CS4 に採用されたようですね。ちなみに、FreeHand のグラデーションカラーの変更は、直接ドラッグドロップで出来ます。
Nuri.jpg

■FreeHand のグラデーションに透明を設定する場合は、ラスターエフェクトのグラデーションマスクを使います。ドロップシャドウ等にも適応できます。パレットの表示が解り易いですねぇ。ちなみに、アピアランスの一元管理インターフェースも CS4 に今回採用されました。
Effect.jpg

にしても、Illustrator の塗りって、ベタ塗りと、グラデーションと、メッシュの間には柔軟な互換性が無いですねぇ。
FreeHand の開発者が設計していたら、もっと柔軟に設計していただろうにと思ってしまいます。
実際、塗りの属性が維持できないと言った愚痴を、Illustrator ユーザーから良く聞きます。



■新機能3:塗りブラシツール

新しく導入された「塗りブラシツール」も、FreeHand のカリグラフペンツールや可変ストロークペンツール、自由変形ツールなどの機能に似たものですね。

■FreeHand の自由変形ツールは、「ローラー」をブラシのストロークと見れば、内側からは塗りブラシとなり、外側からは消しゴム風、パス上ではポインタになるという、七変化ツールです。(CS3に導入された消しゴムツールも、FreeHand からの移植でしたね)


上記デモ、もちろん ツールを持ち替えているのではありません。ツールが勝手に変化してくれます。
(movie は、RSSなどの、.xml .rdf ページではご覧頂けませんので、正式なページでご覧下さい)


■FreeHand のカリグラフペンツール(上)と、可変ストロークペンツール(下)。FreeHand 5 に導入された当時から、ワコムの筆圧感知ペンタブレットに対応していました。
pen.jpg
筆圧感知タブレットが無い場合は、矢印キー操作で、ストロークを変化させられます。

Path2.jpg
交差部分の色を抜いたり、重なったパスを削除することもワンボタンで出来ます。


以上、取り急ぎ CS4 の新機能として3つ紹介されていたものについて、FreeHand と比較してみました。
今回 CS4 に新搭載された新機能は、全て FreeHand から移植されたものと言っても過言ではありません。しかも Illustrator の仕様に合わせて一部グレードダウンされてしまったとも言えるものです。(勿論、グラデーションの透明設定のように新しくなった部分も無くは無いですが...)

まだ、さっき体験版をインストールしたところなので、今回の報告はここまでです。追々追加していきたいと思います。
興味ある方はお付き合い下さい。


***


FreeHand VS CS4 と言うタイトルについては、あまり適切な表現ではありませんが、その昔から、FreeHand VS Illustrator と言う記事を良く雑誌で見かけていましたので、あえて付けてみました。別に敵対する訳ではないですけどね。FreeHand ユーザーの視点から見た機能比較と言うことで。5年前のソフトなのに、最新のCS4と比較しても ホントによく出来ていますねぇ FreeHand は。(自賛 (^^)V

あまりの出来の良さに、ADOBE に目の敵にされ、不幸な結末に追いやられてしまいました。出る杭は打たれるというヤツですか? Illustrator は、今後、FreeHand の機能や特許を少しずつ吸収しながらバージョンアップを重ねるのでしょうね。ADOBE が考えるソフトウエアの進化ってなんなんでしょう???
バージョンアップの度に FreeHand に近づいていくのなら、最初から Illustrator を廃止して、FreeHand に一本化すれば早かったですのにね、ADOBE さん。FreeHand の機能に追いつくのは、CS7 ぐらいですか?

また、ついでに書けば、FreeHand の直感的なインターフェースに比べて、Illustrator のインターフェースは数値入力中心だから正確な作図が出来るんだと言う人もいますが、もちろん、FreeHand で直感的に作成したものは、全て数値で制御されていますので、いつでも数値調整できるという事は書き加えておきます。それどころか、Illustrator は、数値入力ウインドウで2つ以上の計算(例えば10+10+10のような計算式)を理解できませんが、FreeHand は、複雑な計算式も正確に処理しますよ。当たり前すぎて、あえて書くほどのことではないですけれどもね。


Dear Adobe の書き込みにも、Illustrator も InDesign も10年前のバージョンのFreeHand にも及ばないとまで書き込まれていました。確か、マルチページに関連する書き込みでしたが。私もそう感じています。比較すればする程に。今回、マルチページに関しては ようやく同じ土俵についたので、その10年の開きは数年で挽回してくるんでしょうけども。まぁ、バージョンアップ売上げ目当てに、少しずつ機能を小出ししてくれたら、FreeHand はまだまだ当分安泰なので、私はそのほうがいいんですが。

また、前々回のブログタイトルで、FreeHand>CS4 と付けていたら、私の主旨を汲んでくれた方が「Illustrator CS4 は FreeHand に及ばない」という過激なタイトルで紹介してくれていました。実は、私もそういうタイトルにしたかったんですけれども少し遠慮してしまいました。ズバリ書いていただきありがとうございます!


***


デザインは、ソフトウエアが作る訳ではありません。
その意味で、アプリケーションにこだわりすぎたり、頼り過ぎるのは本末転倒とも言えます。
しかし、FreeHand のようなソフトは、真っ白な紙に絵を描いていくような使い方をするものであり、パソコンが自動的にCGを生成していくようなものではないため、自分の手のように自在に使える使い勝手のよさが強く求められます。
さらには、パブリッシュへの制約を意識させない懐の深さも。

FreeHand は、そのネーミングの通り、制約の少ない自在な手としての一つの解答を見せてくれています。
多機能と言っても、無駄な機能はなく、使い勝手を良くするための機能と、パブリッシュに対する制約を無くしていくための機能が見事に両立されています。
このソフトの進化は、単に機能への固執ではなく、理想への必然だったのだと思います。
生産性の高さ、操作負担の少なさ、作業に対する汎用性の高さで、今なお、抜きん出た存在であると今回再確認した次第です。



今回は、FreeHand VS CS4 その1 でした。 多分、その2、その3 に続きます。
   →その2 <気の利かない CS4> アップしました。


追記:20100414
   →FreeHand vs CS5 アップしました。 CS4 に続いて CS5、どうよ。 ぜんぜん負けてへんで!



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シリーズを続けています。下記ご案内。
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   →続・総集編 は、総集編の続編です。総集編と合わせてご覧下さい。
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   →付録編 では、ざっくばらんな情報をご覧いただけます。
   →Tips編 小ネタ集です。
   →FreeHand VS CS4 では、最新版の Illustrator CS4 と比較しています。どうよ。
   →FreeHand_入門編 Illustrator の作業が、FreeHand ではこんな感じ。
   →FreeHand_番外編 実践的に使える裏技テクニックほか、様々な情報を提供しています。
   →FreeHand VS CS5 では、最新版の Illustrator CS5 と比較しています。どうよ。どうよ。

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