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気の利かない CS4 [FreeHandで行こう!]

FreeHandで行こう!】その26( 気の利かない CS4です。

このシリーズでは、FreeHand の優位性を紹介してきました。
FreeHand の情報を求めている方や、Illustrator ユーザーの方にも、お役に立てれば幸いです。

前回から、最新バージョンである Illustrator CS4 や InDesign CS4 と、私がこだわる FreeHand との機能差を比較しています。
初めてお越しの方は、FreeHand 総集編か、カテゴリーTOPも 是非ご覧下さい。

       → FreeHand _総集編はこちら    → FreeHand _カテゴリーTOPはこちら

また、写真が表示されない等、表示がおかしい場合はこちらから再読み込みして下さい。

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FreeHand と Illustrator は 常に比較されてきたライバルソフトであり、新機能の特許紛争では再三裁判沙汰に発展していました。
おおむね FreeHand が搭載した新機能を、Illustrator が後追いするという図式でしたが、5年程前に裁判の和解が報じられたと思ったら、ほどなく買収が発表されました。なんと、金の力で押し切ってしまったのです。(特許技術の使用停止を要求された Adobe が和解を申し入れ、あろう事か会社まで乗っ取ってしまいました)

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Illustrator もバージョンを重ね、CS4 で14代目。既に完成の域に入っているというようなことを言う人もいるようですが、「え? どこが???」って言う感じですね。別に、悪態をつくつもりはないんですけど、どこをどう見て完成度の高いソフトと言っているのか、私にはさっぱりわかりません。
FreeHand ユーザーから見れば、なんとも気の利かない、融通の利かないソフトにしか見えないんですけれども...。

Illustrator に心酔している方には申し訳ないですけれども、当ブログシリーズでは、FreeHand と Illustrator を比較しながら、少なからず Illustrator の出来を非難してきたところがあります。それは、最新の CS4 を触ったあとでも、変わるものではありません。

気が利かない、融通は利かないけれども、どこか優れたところもあるのかも知れない... と、私も出来るだけ肯定的に見るようにしているつもりなんですけどねぇ。...よほど相性が悪いのかな?

ともあれ 以下に、私の基準で見た比較を整理してみたいと思います。
 (過去に紹介してきたものと重複しますがお付き合い下さい)
Illustrator ユーザーの方は、どのように感じてられるのでしょう...?



■Illustrator って気が利かないなぁと感じる部分

FreeHand を買収して特許も全て独り占めしたからには、CS4ではかなり改善されるだろうと思いきや、やっぱり代り映えしない部分が まだこんなにあります。


・フォント環境の違うファイルを開くと、フォントを勝手に置き換えてしまう。おいおい。
 →FreeHand なら、「どうします?」って聞いてくれるんですけど。
Font.jpg
そのまま OK するとデフォルト書体に置き換えますが、置換ボタンで 書体ごとに指定して開くことが出来るように配慮されています。だから、OCFフォントを、同名のOTFフォントに正しく置き換えることも出来るのです。
全く得体の知れないフォント名が表示されたら、とりあえず目立つ書体(勘亭流とか)を指定しておけば開いてからすぐに見つけることが出来るので、開いてからの書体変更にも便利ですよ。Illustrator だと、開いてから どこが置き換わったのか探しまわらないといけませんからね。

だいたい、旧 macromedia 製品なら、FLASH でも、Fireworks でも同機能を持っているのに、フォントが変わると一番影響の出る DTP用ソフトが こんな基本機能も持っていないなんて、使う人の身に立っていないですね。



・預かった Illustrator を開くと、写真が全て埋め込まれていた.... リンク元の無い埋め込みファイルは編集もままならない。トホホ...
 →FreeHand なら、埋め込み画像でも オリジナルのまま抽出できるし、Option + ダブルクリック操作で Photoshop を立ち上げて、埋め込んだまま編集・反映させることも簡単に出来ますよ。
Link.jpg
リンクパレットでは、抽出や変更、埋め込み、表示(検索)が一元管理できます。
レイヤー付の .psd ファイルも、埋め込んだ後で、いつでもオリジナルのまま抽出できます。

さらには、FreeHand 内部で画像変換したオブジェクトでも、埋め込んだ状態のまま外部アプリケーションを指定して 編集・反映させることも出来ますよ。



・使いにくいマスク、欠陥のある複合パス。
CS4になって、マスクの中身が不用意に触れなくなり FreeHand 風に改善されたかなと思いきや、操作性の悪さは相変わらずで、やっぱり何重にも重なったマスクなんてのは簡単には作れないですよねぇ。複合パスにも いまだに制約が残ったままです。

 →FreeHand のマスク(内部にペースト)なら、何重にも重なったマスクでもホントに簡単に作れてしまいます。作例で10秒ぐらい。出し入れ・前後関係も変更自在。 Illustrator でチャレンジしましたが、同様のものを作るにはマスクを作る順番を考えながら何倍もの時間と手間がかかってしまいますよね。
ちなみに FreeHand は、最初にシアン色の星を描き、つぎつぎと内部にペーストしていきますが、Illustrator では、内側からマスクを重ね掛けして、最後に星形のマスクで仕上げるという方法をとるようです。
MASK.gif

Illustrator の複合パスは、3つ以上重なると破綻します。
 →FreeHand ならご覧の通り。これが普通に出来ると思っていたのは FreeHand ユーザーだけだったなんて!
JointPath.jpg
Illustrator だと、パスファインダーで分割しないといけません。そうすると、バラバラになってしまい修正変更できなくなってしまいますね。複合パスのままなら、いつでも個々に位置関係(重なり具合)を変更できるし、オブジェクトの追加も削除も自在です。ブレンドにも対応します。

訂正とお詫び: 上記、Illustrator の複合パスに関する問題は、新しいバージョンの Illustrator では回避策が用意されていました。確認した限りでは、Ver.10以降、複合パスに対し「奇偶規則を適用」すれば、FreeHand 同様の正確な複合パスが作成できるように改善されていました(Ver.9は未確認・Ver.8以前にはその機能はありません)認識不足であった事をお詫びします。 それにしても、デフォルトの複合パスは上記のままです。
Illustrator は、バージョン毎に頻繁に仕様変更する割りには、複合パスのデフォルトはそのままにして回避策だけこっそり用意し、アナウンスもしないのはなぜなんでしょうね。今まで気が付きませんでした。
さらに言えば、InDesign で作成する複合パスは、Illustrator とは違った表示になります。正常表示でもありません。Illustrator の複合パスをInDesign に割り付けると一部トラブルの元になる事が報告されていますので、この辺りの仕様差かもしれません。ご注意を。ちなみに、3者の差は以下のようになります。 Joint_Path_2.jpg
追記:Illustrator が、奇遇規則をデフォルトにしないのは、他に問題を抱えているからのようです。例えば、ナイフでうまく切れないとか、操作しているうちに破綻するとか....複数の要件に対して、まだ技術的にクリアできていないようですね。FreeHand と同様に..とまではいかないようです。


上記だけでも、DTP や デザインやってる方なら どれだけ役立つ機能なのか、生産性がどれほど違ってくるのかは、容易に想像がつくと思います。
加えて、
・やっぱり、インライングラフィックには対応していなかったとか ......作字の時、困りますよね。
・やっぱり、重なったオブジェクトの選択が面倒なままだったとか ......イライラしませんか?
・やっぱり、グラフィックの検索置換機能が無いとか .....便利なのになぁ。
・やっぱり、形状属性や選択の使い分けの概念が無いままとか .....概念すら無いなんて!
・やっぱり、SWFは読込めないとか .....Action Script もそのまま実行できるのに!
・やっぱり、数値入力ウインドウでの計算が苦手とか ..... 算数ぐらい理解してね。
・やっぱり、(複数アートボードになっても)マスターページやページ間リンクも無いとか、、、、
   ※インライングラフィックやページ間リンクが必要なら、InDesign を使いなさいと言うことのようです。

FreeHand の上記機能に関しての詳細は総集編を参照下さい。
CS4の新機能として FreeHand から移植された 複数のアートボードや、グラデーション塗りブラシ に関しては前回のブログに書いた通りです。
他にも まだまだ機能差があることは、過去のブログをご覧いただければお解りになると思います。
これほど出来ることに差があると、FreeHand ユーザーが Illustrator に文句をつけることにご理解いただけると思うんですけど。

いや、まぁ、FreeHand と同じ機能を持ってもらう必要は無いんですけどね、FreeHand がこんなに生産性を高める機能を実現しているのに、Illustrator の開発者はいったい何を見てるんでしょうかねぇ。
これで、ADOBE から FreeHand の開発は強制終了させたから、FreeHand ユーザーは Illustrator に転向すべしと言われても、そんなの使えるレベルに無いとしか言いようが無いではないですか。どこが完成の域にあるソフトなんでしょう???


何も、多機能なソフトほど良いと言うつもりはありません。逆に 上記機能は「.swf 読み込み」を除けば、必須の基本機能と言うべきものです。実際 FreeHand では、多くが 初期のバージョンから基本機能として搭載されていました。
本当に使える 気の利く機能を使いこなし、制約を感じずに制作に没頭できる「自在に使える手」を良しとすべきだとは思いませんか。

Illustrator でも、手間と時間をかければ、そして、InDesign や他のソフトと組み合わせれば、FreeHand に近い成果物を作り出せるのでしょう。でも、FreeHand は、それらを使いこなす何分の一かの労力と時間で、同等の成果物を完成させてしまう生産性の高さ・アプリケーションパワーがあります。(ほとんどの人は知らないだけなのです。FreeHand の真価を知れば知る程、驚かれるのです。理解できる人は。)


追記:
FreeHand VS Illustrator の、面白いムービーを YouTube で見つけましたので以下にご案内しましょう。
見応えがありますよ!



・グループかグループでないかが一目で分かるという基本表示の違い。<入門編-2>
・下に隠れたオブジェクトが簡単に選択出来るという基本操作の違い。<入門編-2>
・マスク作成が、Illustrator より何倍も効率的という基本操作の違い。<入門編-7>

が、紹介されています。(後ろの< >内は当ブログでの説明リンクです) さらに、、、




・起動時間の差
・スターツールの角を丸める場合の操作時間の差<付録編-1>
・拡大能力の差(25600% vs 6400%)
・角R四角形作成操作の時間差<入門編-3>
・複数オブジェクトが重なっている場合の変形操作の時間差<入門編-2>
・テキストをパスに沿わせる操作の時間差

Illustrator の基本操作体系が FreeHand に比べて 如何に詰めが甘いかということは、こうして比較すればよく解りますね。
紹介されているのは、ごく一部ですが、多くの操作で同様のことが再現されます。

FreeHand で作業する方が Illustrator で作業するよりも、何倍も速く仕事ができるというのは、けっして大げさな話ではありません。

何年か前の MacWorld 誌で、FreeHand と Illustrator、Corel Draw、Canvas を科学的に比較するという記事があり(アメリカでの検証記事でした)操作の手順の回数や、マウスの移動距離、ツール持ち替え回数などに得点を設け、科学的に検証・比較した結果、ダントツで FreeHand の生産性が高いと評価されていたのを思い出します。
MacWorld 誌としては、グラフィックソフトは FreeHand を推薦すると結論付けられた記事でした。

上記の記事の片鱗を検索で見つけることが出来ました。

In January, 1997, MacWorld published an extensive analysis of the top four illustration programs for the Mac: Adobe Illustrator 6.0-.1, Macromedia Freehand 5.5, Corel Draw 6, and Deneba's Canvas 5.0.
Freehand was ranked the champ for its "flexibility, efficiency, and creative features".

FreeHand は、ADOBE に買収されていた期間(Ver.4の時代)開発が一時停止していた為、Illustrator よりバージョンが一つ分遅れていますが、評価では全ての項目で圧勝だったと記憶しています。



Dear ADOBE の書き込みにはこんなものもありました。Illustrator は、もっと謙虚に FreeHand の良い部分を見習うべきだと。ずいぶん真似られたところは多いですが、WINDOWS が MAC のインターフェースを真似たときに、無理矢理 似て非なるものにしようとしたため、かえって操作に違和感を生んでしまった部分があるのに似ているように感じます。
Illustrator のレイヤーパレット等はその典型のように感じますね。(FreeHand3のレイヤーパレットから、ガイドレイヤーとバックグラウンドレイヤーをはずして、Illustrator5に搭載)
CS4で導入された グラデーションのインターフェースも FreeHand に似ていますが、FreeHand の方がずっと出来がいいと思いますけど。

業界を代表するグラフィックソフトと言いながら、実現している機能のレベルはお世辞にも高いものとは言えません。
CS4 には 少しは期待もしていたのに、触れば触る程 さほど代り映えしないことに、バージョンアップして損した気分になってきました。

色々細かいところまで比較しようと思ってましたが、興味が無くなってしまったので、一旦 FreeHand VS CS4 はここまでにします。また何か気になることがあれば追加するかもしれません。


今回は、FreeHand VS CS4 その2 でした。 →その1はこちら

   → (続編)FreeHand 授業その2 追加しました。




追記:20100414
   →FreeHand vs CS5 アップしました。 CS4 に続いて CS5、どうよ。


追記:20100501
FreeHand ならではの機能を活用して iPhone・iPod Touch 風 操作可能な FLASHコンテンツを作成してみました。サンプルファイルも用意しましたので、ダウンロードしての試用も可能です。→こちら
FreeHand をお持ちの方は、是非一度お試しください。こんなものも簡単に出来てしまうんです。
Illustrator だけでは逆立ちしても出来ません。CS4を総動員して、手間をかければできるんでしょうけれど。



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シリーズを続けています。初めてお越しの方は、総集編か、カテゴリーTOP(旧い順)からご覧下さい。
  →総集編 では、FreeHand の真の実力をご覧頂けます。
  →続・総集編 は、総集編の続編です。総集編と合わせてご覧下さい。
  →FreeHand_使い方 DTP編、FLASH編など含め、全10編。
  →FreeHand_INDEX はこちら
  →付録編 では、ざっくばらんな情報をご覧いただけます。諸々入れて全10編。
  →Tips編 1分で出来る小ネタ集など。全5編。
  →FreeHand VS CS4 では、最新版の Illustrator CS4 と比較しています。どうよ。
  →FreeHand VS CS5 では、最新版の Illustrator CS5 と比較しています。どうよ。どうよ。
  →FreeHand_入門編 Illustrator の作業が、FreeHand ではこんな感じ。全10編。
  →FreeHand_番外編 実践的に使える裏技テクニックほか、様々な情報を提供。諸々10数編。
  →すごいぞ FreeHand 編 今なお圧倒的な生産性の高さを誇る FreeHand の底力をご覧頂けます。
  →FreeHand VS Illustrator 初期バージョンから最新バージョンまで、ガチンコ比較してみました。

  → FreeHand インストール アクチベーションサーバ廃止に伴い、シリアルナンバーが公開されました。

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