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MAC遍歴--8 <最後の Rosetta 対応 MAC Pro> [MAC遍歴]

MAC遍歴【その8】です。  → 過去の MAC遍歴はこちら

先月、MAC OSX Lion が出荷開始され、初日で100万ダウンロード突破という盛況ぶりだそうです。
Mac mini、MacBook Air も CPU が一新されて同時発売されました。噂では 8月中にも、MAC Pro もフルモデルチェンジが予定されているとのことです。
そんな中、私はこっそりと、Rosetta 対応 SnowLeopard 搭載 最後の MAC Pro を入手したのでした。

目前に迫った MAC Pro のフルモデルチェンジでは、新デザインの筐体に 現行 Xeon プロセッサの性能を大きく上回る CPU が搭載されるらしいと噂されており、魅力的な新製品の登場に興味は掻立てられるものの、私がメインで使用するソフトウエア FreeHand が動かないとなると、そんなものは、私にとってはなんの価値もない、ただの箱ということになってしまうのです。

思えば、OS9 までの時代は、モデルチェンジの度に新機種に入れ替えるというサイクルでやってきましたが、OSX 移行時の頃から様子見に転じ、ギリギリ最後のモデルにばかり手を出すという感じになってしまいました。

OS9 がネイティブで動く最後の G4 Dual 1.25GHz マシン(FreeHand 9 最速マシン)や、
Power PC 最後のマシン G5 も最終モデルの Quad 2.5GHz(FreeHand MX 最速マシン)だったし、
初購入の Intel マシン(MacBook Pro)も、G5 と共通OS Tiger 搭載機の最終モデルを選びました。(今も Tiger のままで使用)
そして今回も、Rosetta が動く最後の SnowLeopard 搭載 MAC Pro(FreeHand MX が動く最終マシン)です。


今回は、ようやく手に入れることになった、SnowLeopard 搭載 最後の MAC Pro に関して、気になる Rosetta での動作速度や、ネイティブアプリである Illustrator CS4, CS5 との 速度差などを書いてみたいと思います。

Lion 搭載の 新型 MAC Pro 発売まで、あと僅かな間だけ出荷されますので、最後の Rosetta 対応 MAC Pro を検討されている方のご参考にでもなれば幸いです。


MAC_Pro.jpg


例によって、MAC mini の時と同じファイルをテストしてみました。

FreeHand_201P.jpg

A4レターサイズ 201ページの Apple Keynote ユーザーマニュアルを FreeHand で開いたもの。
G5 Quad Core での所要時間を以下のように紹介していました。

■PDFから FreeHand への読み込み(変換)に要した時間:38秒
■201ページ全体表示の再描画所要時間:約2秒
■1ページ目から、201ページ目まで順番にページ繰り表示するのに要する時間:30秒以内
 (キーボードショートカットで、1ページずつめくりました。これ以上速く指を動かすことは出来ません!)
ちなみに、ネイティブリーダーである Acrobat 6 での所要時間は1分20秒でした。(→キー押しっぱなしで)


今回、これと同じことを Snow Leopard 搭載の MAC Pro にやらせてみました。
比較しやすいよう、左から「G5」「MAC Pro」「Mac mini」です。

  Power_MAC_G5
2.5GHz ×4core
Tiger 
4.5GB_RAM
MAC_Pro
Xeon 2.8GHz ×4core
Snow Leopard 10GB_RAM
Mac_mini
Core2Duo 2.4GHz
Snow Leopard 4GB_RAM
PDFからの変換 38秒 45秒 75秒
全ページ再描画 2秒 4秒 4秒
ページ送り 30秒以内 40秒 65秒
保存後ファイルの再OPEN 10秒 13秒 16秒



当然、Mac mini よりは速いものの、残念ながら G5 のスピードには追いつきませんでした。
やはり、Rosetta 経由の処理が足かせになっているのでしょう。

また、総合評価の目安になるベンチマークテストでは、MAC Pro は、Mac mini の ほぼ2倍のスコアなのですが、速度的にそれほど差が出なかったのは、恐らく、マルチコア、マルチスレッドの恩恵を受けられないため、クロック周波数の違いと各部処理の余裕の差程度しか差が出なかったものと思われます。

一応、ご参考に、MAC Pro と Mac mini のベンチスコアを掲載しておきます。
MAC_Pro_Bench.jpg
上が MAC Pro、下が Mac mini。 G5 のスコアはこちらにあります。
Mac_mini_Bench.jpg


ここで私は、MAC Pro は期待していたほど速くはなかった、などと言うつもりはありません。
G5の方が速かったのは、FreeHand が G5環境(Tiger OS と Power PC CPU)に於いてネイティブなためであり、いかに MAC Pro を持ってしても、Rosetta(いわゆる同時通訳)経由では実力を発揮できなかったということなので、致し方のないことと納得しました。(まぁ、だいたい予想していたことですからね)

実際、Intel CPU 対応の新しいソフトウエアでは、Mac mini とはベンチマーク差以上の速度差を体感させてくれるし、何をしても手一杯で すぐに発熱する Mac mini に比べると、MAC Pro は、ほぼ温度一定で、圧倒的な余裕を見せつけてくれます。

更に言えば、以前報告した Mac mini では使い物にならなかった FLASH 8 や、Fireworks 8 なども、問題なく使えるようになるなど、処理速度以上に、包容力の大きさ・安心感が感じられます。

先般発売された新型 Mac mini(i5、i7 CPU)のベンチスコアは、MAC Pro に迫るものだとのこと。
Rosetta が機能しないため、私にとっては役立たずなので食指は伸びませんが、解っていたこととはいえ、どんどん進化しているものなのですねぇ。

****

そんな中、、、Intel CPU 環境がネイティブである Illustrator に関しては、思ってたほど速くはならなかったのも事実ですね。これはもう、やっぱり、Adobe 製品の限界なのでしょう。
ジョブズが、Adobeは のろまのカメと吐き捨てた気持ちがわかりますね。
一応、Illustrator でもテストしましたので、以下ご参考に。


以前のブログでもご紹介しましたが、下の画像が Illustrator CS4 で開いた状態です。

Illustrator_CS4_99P.jpg

Illustrator は、PDF を1ページ単位でしか読み込めない為、FreeHand ファイルを読み込ませました。
但し、Illustrator の「複数のアートボード」は、上限99ページまでという制限が設けられている為、上の画像のような状態で開きます。一応、ドキュメント内には201ページ分のデータが読み込まれました。

左=MAC Pro、真ん中=Mac mini、右は比較用に MAC Pro での FreeHand のタイムを持ってきました。

  MAC_Pro
Xeon 2.8GHz ×4core
Illustrator CS4
Mac_mini
Core2Duo 2.4GHz
Illustrator CS4
MAC_Pro
Xeon 2.8GHz ×4core
FreeHand MX
データ変換処理時間 330秒 660秒 45秒
全ページ再描画 4秒 (キャッシュで一瞬) 6秒 (キャッシュで一瞬) 4秒
ページ送り 23秒/100P 30秒/100P 20秒/100P
保存に要する時間 30秒 40秒 2秒
保存後ファイルの再OPEN 35秒 45秒 13秒


データ変換処理時間は、条件が違うために参考としてご覧下さい。
Illustrator の保存では、PDF互換はキャンセルしています。

やはり、ネイティブの Illustrator CS4よりも、Rosetta 使用の FreeHand のほうが速い でしょう。(^^)v
(ネイティブ環境の G5 なら、もっと速いし!!)
ちなみに、Illustrator CS5 でも試しましたが、CS4 とほぼ同タイムでした。
唖然とするほど差のある保存時間。頻繁に保存する必要のある重要なデータほど、大きな差がつきますね。

全ページ再描画にある(キャッシュで一瞬)は、ビデオカードにあるキャッシュデータを表示するため、一瞬で表示が完了します。これはご立派。FreeHand はビデオカードのキャッシュには対応していないようで、必ず再読込みを行います。

キャッシュ表示のように Illustrator の方が速い処理もあるため、全ての動作について言い切れるものではありませんが、最新ソフトと最新ハードを組み合わせた Illustrator にとって理想的なネイティブ環境での比較であってもなお、8年前のソフトである FreeHand の方が生産性が高いことが証明されちゃいましたね。
あっぱれ、FreeHand !


***


余談として...
CPU.jpg
それにしても、Xeon CPU の余裕度合いには恐れ入ります。
上の画像は、通常の使用状況で、現在18本のアプリとユーティリティが動いています(仕事に集中している時は30ほどに増えます)が、CPUの負荷は僅かに数%。Mac mini なら50%以上になっていて、かなり発熱しているような状況です。FreeHand 使用中でもほとんど負荷は変わりません。
これは、恐らく、マルチコア、マルチスレッドが暇を持て余しているんだろう、ということで、面白い実験をしてみました。

同一アプリケーションを複数コピーして、同時に立ち上げてみたのです。

CPU_2.jpg

FreeHand 4本。全部、別々の処理を同時に、普通に(速度低下なく)使えました!!!  ビックリ!
今まで、大きなファイルの書き出し中や、プリント中(GB単位の.psファイル作成)などは、作業中断せざるを得ない場合がありましたが、これなら同時進行が出来るのです。Xeon CPU は、涼しい顔して平行処理してくれるじゃありませんか!
なんと頼もしい、生産性の高いCPU !!

これは、マルチコア、マルチスレッド CPU の、画期的な活用方法ではあるまいか?!!

こんな使い方が出来るとは、やはり、手に入れて使い倒してみないことには解りませんね。
Rosetta が動作する最後の MAC Pro、買って良かった最終モデル!!


***


もう一つ、余談として。
MAC Pro のディスプレイ出力は3系統が用意されていて、トリプルモニタ可能と謳われていたため、20年来ダブルモニタに親しんできた私は、いよいよ、トリプルモニタにしてみるか、と mini Display Port to DVI アダプタを追加購入しセッティングをし始めたのですが.... どうしても2台のモニタしか認識しませんでした。

調べてみると、通常のアダプタでは対応しないらしく、Dual Link Cable が2つ必要とのこと。アダプタだけで、二万数千円の追加投資が必要になることが解ったため、特にトリプルモニタにする強い動機も無く、あっさり諦めてしまいました。結局セッティングにかけた時間と、追加購入のアダプタが無駄になってしまいました。
MAC Pro を手に入れて、トリプルモニタに挑戦しようとお考えの方は、特別なアダプタを用意しなければモニタを認識しませんので、お気をつけ下さいませ。(全て VGA なら認識するんですけどね。DVI はダメです。または、アダプターを使用せず、DVポートをそのまま使えば可能だと思うんですが、DVポート付きのモニタが無いので試していません)
追記:ビデオボードをもう1枚追加して、一気に4モニタにしてみました。→興味のある方はこちら


ちなみに、アダプタはヨドバシに買いに行ったのだけれど、売り場で「MAC Pro なんですが、mini Display Port に DVIを繋ぐアダプタはどこにありますか?」と聞いたら、mini Display Port じゃないですよって言われたんです。一瞬訳が分からなくてキョトンとすると、店員は、Thunderbolt に変わりましたからって。
へ? もう、新型の MAC Pro が入荷してるんですかって聞き返したら、どうやら、MacBook Pro と勘違いしてたらしい。私は見るからにデザイナーって言う風貌でもないと思うんですけど(髭面ですけどね)、店員は勝手にデザイナーと思い込んだらしくって、デザイナーさんが MAC Pro を使ってるって言うのは、ホントに聞かないので MacBook Pro と早とちりしてしまいましたって言ってました。店員さんが言うには、ヨドバシに来るデザイナーとおぼしきほとんどの人は、G4 か G5 を使っていて、モバイル用に MacBook Pro というパターンが多いのだそうです。
まぁ、確かに私も G5 と MacBook Pro の組み合わせパターンですけど、MAC Pro だって使いますよって。
でも、デザイン業界の実態は、確かに、Illustrator 8 とか、よくて CS2 あたりで止まってるのが大勢ですからねぇ...。 実際に使われている Illustrator のバージョンが何世代も前のだったり、バージョン間の互換性が悪いという出来の悪さも手伝って、こちとら少数派の FreeHand ででも仕事にありつけて助かってますけど (^^)