FreeHandで行こう!】その37 <FreeHand_入門編-4> です。

現在 FreeHand 入門編 を連載しています。入門編では Illustrator で日常やってることを、FreeHand ではこのようにしますよという解説で進めています。
入門編として基礎の基礎から説明していますので、これから FreeHand にチャレンジしてみようと言う方のお役に立てれば幸いです。

初めてお越しの方は、総集編か カテゴリーTOPからご覧いただければ、FreeHand のあまり知られていない全貌をご覧いただけます。Illustrator しか使ったことの無い方には、驚きの内容が満載です。

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今回は、ツールパレットと、環境設定の押さえどころを説明します。
まずは、デフォルトのツールパレットを確認しておきましょう。カスタマイズも出来ますので、使いやすいように工夫して下さい。


■ツールパレット


ここで、あえて私が強調したいのは、右上にあるダイレクト選択ツールは不要であるということです。
このツールが搭載されたのは、他のアプリケーション群とインターフェースを統一するという大義名分があったためで、歴史ある 完成された操作体系の FreeHand には全く必要の無いツールでした。
必要ないどころか、このツールを使おうとすると、FreeHand の完成された操作体系に不整合が生じてしまい、かえって作業効率が落ち、誤操作も増えるという悪影響をもたらします。

ご存知のように、ダイレクト選択ツールは、Illustrator を象徴するようなツールです。もともと Illustrator では、バウンディングボックスが搭載されるまでは、ポインタは選択と移動だけのツールであって、変形操作は それぞれの変形ツールに持ち替えてというものでした。その代表格の持ち替えツールがダイレクト選択ツールで、直接ポイントやパスを操作するためのツールですね。

FreeHand では、ほとんどの操作は、ポインタと左手ショートカットで行います。ダイレクト選択の機能もショートカットに含まれます。だから、ダイレクト選択ツールに持ち替えてしまうと、後の操作が限定されてしまう分、効率が落ちてしまい、誤操作まで誘発しかねないという訳です。
せっかく、FreeHand をモノにしようとお考えなら、Illustrator 風のインターフェースを混ぜて混乱するより、慣れるまでは大変かもしれませんが、ダイレクト選択ツールへの持ち替えを必要としない、本来の FreeHand インターフェースに挑戦してみて下さい。使い込む程に、その完成された操作体系に感心することになるでしょう。


ポインタツール+ショートカットを整理してみました。(MACの場合)
・option.......グループ中のオブジェクトをダイレクト選択
・option.......形状属性の変形ポイントを表示・変形ポイント操作(入門編-3 参照
・option.......選択パスに対して、両端のポイントハンドルを同時に変形操作
・option.......オブジェクトに対するカラーのドラッグドロップで、放射状グラデーション塗り
・option.......テキストに対してダブルクリックで、内蔵テキストエディタを起動
・option.......テキストボックスのポイント(四隅)ドラッグ操作で拡大縮小
・option.......グループおよび 円、四角のポイント(四隅)ドラッグ操作で中心から変形
・option.......画像に対するドラッグ操作で、ピクセルに対して最適倍率を維持した変形
・option.......画像に対するダブルクリックで、指定した外部エディタを起動
・option.......選択ポイントに対するドラッグ操作で変形ハンドル出し(切り替えツール)
・option.......オブジェクトドラッグでコピー(注意点を後述します)
・option.......オブジェクトパレットの線種セレクタダブルクリックで破線エディタを起動
・option.......オブジェクトパレットの矢印セレクタダブルクリックで矢印エディタを起動
・control......重なったオブジェクトの下を選択(option併用で、グループ内オブジェクトの重なりに対応)
・control......オブジェクトに対するカラーのドラッグドロップで、線状グラデーション塗り
・shift...........複数選択 選択中のオブジェクトに対しては選択解除
・shift...........グループ・画像・テキスト変形時、縦横比を維持
・shift...........形状属性オブジェクト変形時、正円、正方形に限定(比例維持させるにはグループを併用)
・shift...........オブジェクトに対するカラーのドラッグドロップで、ベタ塗り
・ダブルクリック.....オブジェクトに対するダブルクリックでバウンディングボックスを表示
・ダブルクリック.....テキストの場合は、テキスト枠をダブルクリック
・ダブルクリック.....ガイドに対するダブルクリックでガイドを編集
・ダブルクリック.....テキストに対するダブルクリックでテキスト編集
・ダブルクリック.....グループ化されている場合は、optionで選択してからダブルクリック
・ダブルクリック.....テキストボックス右下四角ダブルクリックでテキストボックスのサイズをフィット

ちょっと思いついただけでこれだけあります。他にも書き漏れがあるかもしれません。
特に、option キーの多芸さには驚かれるのではないでしょうか。(Illustrator では、ほとんどドラッグコピーだけですからね)1つのポインタツールの中にも オプションがこれだけ用意されているということなんですね。

実際の操作では、スーパーセレクトやサブセレクトもショートカットで操作します。(デフォルトショートカットが無い(以前はあったのに)ので設定して下さい)
また、変形ツール等からポインタへの復帰も、常にショートカットで行えば操作性は飛躍的にアップします。

日本語入力時は、ツールパレットデフォルトのショートカットは使えませんので、(英語入力時の ポインタ復帰は v )左手ショートカットの使いやすいキーを自分で設定しておけば良いでしょう。ちなみに、私は command + Q をポインタ復帰に当てています。command + Q は、左手ショートカットで最も使いやすい場所にあるのに、アプリケーション終了にしか使わないなんて野暮ですからね。

ショートカットのカスタマイズは、メニュー>編集>ショートカットカスタマイズ...で行います。
同様の機能は Illustrator にもありますが、FreeHand の方が設定の自由度がはるかに高く、同時に4つのキー(command、option、control、shift)を組み合わせることも可能なため、左手で操作しやすいキーに何重にもショートカットを割り振ることが可能です。

注)FreeHand は、6年前のバージョンのままですから、その後発表されたOS等で、ショートカットがコンフリクトを起こしているものがあります。確認しているところでは、MAC_OS Leopard のドック関連とFreeHand の複製コマンドが同じで、OS側が優先され、FreeHand のショートカットが機能しないというのがありました。他にもいろいろあるかもしれません。コンフリクト回避のためにもカスタマイズは有効です。


ここで、もう一つ、MX バージョンの変更しておくべきデフォルト設定を指摘しておきます。

option...オブジェクトのドラッグコピーは Illustrator でおなじみの操作で、macromedia でも インターフェース統一化の流れの中で FreeHand に持ち込まれたものですが、もともと FreeHand では、上記のように option キーとの併用機能が多く、ドラッグコピー機能がついたことによって誤操作が増えることになってしまいました。
ドラッグコピーが設定されていると、上記操作がキャンセルされたり、重複してしまうのです。弊害以外の何者でもありません。
幸い、このドラッグコピーは、環境設定でキャンセルすることが出来ます。デフォルトでは ON になっていますので、必ず OFF にして操作に慣れるようにして下さい。デフォルトのままでは、本来の FreeHand の優れた操作性が体験できなくなります。ユーザーインターフェース統一による大弊害です。
ちなみに、FreeHand には、クローン機能という便利なコピー機能が用意されています。ドラッグコピーをOFF にして、クローン機能を使いましょう。

環境設定の話が出ましたので、環境設定の押さえどころについて以下に記します。


■環境設定

以下の画像はデフォルトの紹介ではありません。私の環境設定です。ご参考に。

「パスのハイライト表示」は、Illustrator 風ですが、見にくくなるだけですので OFF にします。スッキリ。



5段目「option + ドラッグでパスをコピー」は、前述のような理由で OFF にします。
外部エディタは、画像形式ごとに指定しておけば、option + ダブルクリックで指定した外部アプリケーションで編集できるようになります。埋め込み画像にも対応。Illustrator には出来ない芸当ですね。



「テキストツールをポインタツールに戻す」はデフォルトです。立て続けにテキストを編集するような場合だけ OFF にすれば便利でしょう。通常は自動的にポインタに戻ってくれるので便利です。



「新規ドキュメントのテンプレート」は、自分の使いやすい状態に作り込んだページ(色見本やマスターページ等)をひな形に保存し、指定しておきます。 保存場所は、ユーザ>ライブラリ>Application Support>Macromedia>FreeHand MX>11>Japanese>Settings(MACの場合)です。



カラーマネジメントは、DTP編を参照ください。
RGBのみで編集する場合は、カラーマネジメントを OFF にすれば、彩度の鮮やかなドキュメントを作成できます。



サウンド機能は、Windows 版には無いようです。MAC 版では、吸着音を ON にしておけば、スナップ音も軽快に操作できます。


環境設定を割り込ませたため、後先になってしまいましたが、以下にツールパレットの説明を再開します。
Illustrator と違う部分のみ、簡単にクローズアップしてみましょう。



■テキストツール

詳しくは、使い方-6付録編-3 を参照いただくとして、ここでは、極々基本的な操作を説明します。
Illustrator のテキスト入力は、ポイント入力と、ドラッグ入力で扱いが変わるようですが、FreeHand では、どちらの入力方法をとってもテキストボックス仕様で統一されています。


上の画像、上段がポイント入力、下段がドラッグ入力です。Illustrator のバウンディングボックスはキャンセルしてあります。(バウンディングボックスを表示するとテキストの仕様を説明しにくくなりますから。拡大操作等にも一貫性がありませんしね)
Illustrator の場合、段落設定等も入力方法により変わりますが、FreeHand はどちらの入力方法でも変わることはありません。

FreeHand のポイント入力では、テキストボックスは自動拡張です。
自動拡張のテキストボックスと固定のテキストボックスはいつでも切り替えできます。
切り替えは、横方向の制御は右側真ん中のポイントをダブルクリック、縦方向の制御は下側真ん中のポイントをダブルクリックします。白抜きポイントが自動拡張、塗りつぶしポイントが固定です。それぞれ独立して、また交互に切り替えできます。

テキストボックスのサイズ変更は四隅をドラッグする訳ですが、自動拡張テキストボックスでは常に文字量にフィットする仕様のため、この操作は無効です。

テキストの縮小拡大は、四隅をドラッグする際、option キーを併用します。

字間・行間の調整は、先ほど説明した自動拡張切り替えポイントをドラッグします。

右下、ボックスの外にある四角は、複数のテキストボックスをリンクさせるためのものです。ここからドラッグするとリンクラインが伸びますので、リンクさせたい対象にドロップします。対象は、テキストボックスの他、パスでも、円や四角でもかまいません。リンクを切るにはドラッグアウトします。パラメーターはオブジェクトパレットで変更します。文字があふれている場合は四角の中に丸が表示されます。
option + ダブルクリックか、メニュー>テキスト>エディタ で、内蔵テキストエディタを起動できます。
インライングラフィックにも対応しています。




■変形ツール

デフォルトのツールパレットには、変形ツールは伸縮(拡大縮小)ツールしか見当たりませんが、当然、回転ツールやシアー(傾斜)ツール、リフレクト(反射)ツール等が用意されています。伸縮ツールを長押しすれば別のツールを選択できるようになりますが、よく使うツールですので、常駐させておいた方が良いでしょう。また、ダブルクリックで、変形パレット(パラメータ入力パレット)を表示させることもできます。

ツールバーのカスタマイズ機能を使用して使いやすいようにカスタマイズしましょう。


ツールバーのカスタマイズは、メニュー>ウインドウ>ツールバー>カスタマイズ.. で上記パレットが出ますので、アイコンをツールバーにドラッグすれば追加できます。ツールの削除は、上記パレットが出ていない状態(通常時)で command キーを押しながらツールアイコンをドラッグアウトします。

私は、全ての変形ツールと、整列ツール(2段目の3、4番目)のほか、ページ複製ツールや、ページ削除ツールをツールバーに追加して使用しています。ツールバーでは、他にインフォメーションバーを常駐させておくとオブジェクトの状態が解りやすく、大変便利に使えます。


■スポイトツール

Illustrator のスポイトツールは、クリックした色を選択オブジェクトに直接反映させるか、バケツツールで後から反映させるという使い方ですが、FreeHand のスポイトツールは、現物のスポイトをシミュレートしていて、クリックで吸い上げ、そのままドラッグドロップで対象に反映させるという使い方になります。その際、option キーと組み合わせると放射状グラデーション塗りで落とせる等のショートカットはポインタでのドラッグドロップと共通です。
Illustrator のスポイトとバケツで行うテキスト等の属性のコピー・ペーストは、FreeHand ではショートカットだけで行えます。(メニュー>編集>スペシャル>属性のコピー・属性のペーストを使用)


■自由変形ツール

このツールも、過去に何度か紹介していますが、ムービーでご覧頂くのが解りやすいでしょう。
ツールアイコンをダブルクリックすれば、各種パレメーターを設定できます。
(ムービーが表示されない場合は 再読み込み して下さい)



他のツール類も、微妙に Illustrator とは操作方法が違うと思いますが、触ればすぐに解ると思います。習うより慣れろの精神で使い倒して下さい。



本日のポイント
FreeHand の基本操作は初期バージョンから一貫して変更の無い完成度の高いものです。ポインタツール+ショートカットをマスターし、AI風のダイレクト選択ツールはツールパレットから削除しましょう。
・環境設定では、「option + ドラッグでパスをコピー」のチェックを外し、クローン機能を使用します。
・たぶん、どのツールを操作しても、あのソフトよりも出来が良いのを実感してもらえると思われます。(^^)



今回は、ツールパレットを中心に、操作性を高めるための環境設定やカスタマイズを中心に説明しました。是非 FreeHand を使いこなして下さい。
入門編、まだまだ続けます。FreeHand に本気の方、お付き合いください。

 →入門編-その5 アップしました。


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嬉しいことに、最新のOS Windows 7 でも、FreeHand MX は問題なく動くようです。MAC の最新OS Leopard(Intel MAC)でも問題ありません。(2009.07現在)
但し、アクチベーションは、必ず電話を使って行うようにして下さい。ADOBE から NET 経由で何をされるか解ったもんではありませんから。インストールに関する注意 参照
追記:201303
ADOBEのアクチベーションサーバトラブルにより、対処方法が公開されています。詳しくは →こちら



※キーボードの、コマンド、option、comtrol 表記は、MACのものです。WINの場合は表記が異なりますので推察して下さい。マウスクリックも、2ボタンの場合 操作が変わるようです。



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