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FreeHand _入門編-2 <選択方法とグループにする意味> [FreeHandで行こう!]

FreeHandで行こう!】その35 <FreeHand_入門編-2> です。

前回から、FreeHand 入門編 を始めています。入門編では Illustrator で日常やってることを、FreeHand ではこのようにしますよという解説で進めます。
入門編として基礎の基礎から説明しますので、これから FreeHand にチャレンジしてみようと言う方のお役に立てれば幸いです。

初めてお越しの方は、総集編か カテゴリーTOPからご覧いただければ、FreeHand のあまり知られていない全貌をご覧いただけます。Illustrator しか使ったことの無い方には、驚きの内容が満載です。

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選択方法と表示の違い。ポイントとグループの関係。そしてそれらの意味。


Illustrator ユーザーの方が FreeHand を操作してみて、最初に戸惑われるのは選択方法の違いについてでしょう。表示も違うことに気が付くと思います。

Group.jpg
■上は、グループ表示の違い。Illustrator は、複数選択時と グループ選択時に表示上の差がありませんが、FreeHand は、選択されているものが 1つのグループであるということが一目で分かるようになっています。


Illustrator では、ポインタツールのドラッグ操作で 触れたものはなんでも選択 します。複数のオブジェクトをグループ化してあると、どこかの部分に触れたとたんに、全体が選択されますね。

FreeHand ではどうでしょう。ドラッグ操作で 触れただけで選択できるものと、触れただけでは選択しないものがあるのに気が付かれたでしょうか。
複数のオブジェクトをグループ化してあるものを選択すると、その大外の四隅にポイントが現れるだけなので表示も Illustrator とはかなり違います。これはどういうことを意味しているのでしょうか。

Illustrator の視点からすると、なんだか選択が面倒そうとか、意味が分からないと言う風に映るようです。
しかし、FreeHand の視点から言えば、なんでも選択してしまうことこそ困ったもので、選択出来る条件を積極的に使い分ければ無駄な選択が無くなり、操作性が飛躍的に高まると断言できるのです。


FreeHand での、ポインタドラッグによる選択操作は、オブジェクトの状態によって次のように反応します。
・触れただけで反応するのはペンツールなどで描いた裸のポイントだけです。(パス(線)には反応しない)
・グループ化すると、ポイントはグループ内部に取り込まれたようになり、反応しなくなる。
・グループオブジェクトは、完全に囲まれたときにのみ グループとして反応する。
・円、四角、多角形は、形状属性を分解するまでは、グループ扱いでポイントは反応しない。
・ドラッグではなく、直接クリックで選択できる条件は Illustrator と同じです。

さらに、ダイレクト選択ツール時(ポインタ+Option キー(MAC))のドラッグ操作では、、、
・グループ化されていても、グループ内のポイントに反応するようになる。
・円、四角、多角形は、変形ポイントに反応するようになる。(MXバージョンのみ)
・分解された円、四角、多角形は、そのポイントに反応するようになる。

文章に書くと まどろっこしいですが、実際に操作してみるとすぐに解ります。要するに、オブジェクトの状態(グループか否か)によって、反応させるかさせないかを使い分けることが出来るのです。
具体的に言えば、かんたんに反応させたくない時は、グループ化しておけば良いということになります。これが、FreeHand におけるグループ化するということの大きな意味の一つです。

Illustrator におけるグループ化は、一括選択のみを目的としているようですが、FreeHand では、選択条件を変えることで、反応させにくくできる。別の言い方をすれば不用意な選択を防止できるということです。

複数のグループが何重にも重なっていることを想像してみて下さい。Illustrator では、少しドラッグ選択しただけで全て選択されてしまい、画面が真っ青にハイライト表示されますが、FreeHand では、目的のグループの両端を囲うようにドラッグすれば、目的のグループだけを選択できるということが可能になるのです。
複雑に描き込んだイラストなどでは、この選択仕様は大変有効に機能します。この選択仕様を持たない Illustrator では、多数にレイヤー別けしながらの作業を余儀なくされてしまうのです。

Group2.jpg
■上の例では、マゼンタ、シアン、オレンジ、ライトグリーンの 4つのグループを重ねてみました。
まぁ、直接クリックすれば良い訳ですが、(説明用の例ですので)ドラッグ選択で目的のグループを選択しようとすると、Illustrator の仕様では そのようなことは想定されていないため、無理ですね。
FreeHand なら、破線のようにドラッグすれば、マゼンタのグループだけが選択されます。
表示も これほどシンプルさに差があるんですよ。(破線は表示ではありません)



具体的な使用例としては、例えば下記のようなテキスト選択にも応用できます。
Sentaku.jpg
■上の表組は EXCEL からコピペしたものです。当然レイヤーは分かれていません。テキストはバラバラです。
%の縦列のテキストのみを選択しようとした場合、クリック操作で選択するとテキストの数だけ(21回)クリック操作が必要になりますが、ドラッグ選択なら1回です。しかし、Illustrator の仕様では、罫線も一緒に選択されてしまうため、困ってしまいますね。(もちろん方法が無い訳ではありませんが)
FreeHand なら、ためらわずに破線の範囲をドラッグ選択するだけで、テキストオブジェクトのみが一発で選択できるという訳です。こんな単純なものではなく、複雑なテクニカルイラストのようなものになると、FreeHand の選択仕様に絶大なメリットを感じるようになるでしょう。
Illustrator ユーザーの知らない、でも FreeHand では当たり前の便利な選択仕様なのです。



下に隠れたオブジェクトのかんたん選択方法

重なったオブジェクトの話がでましたので、重なった下にあるものの選択方法を解説しましょう。
今度は、ポインタのクリック操作で選択します。
Sentaku2.jpg
■完全に重ねてしまうと説明出来ませんので、少しずつずらしてみました。完全に重なっているものとしてご覧ください。
7つの円は、グループ化していません。重なった7つのオブジェクトです。
緑の円をクリック選択すると、まず緑の円だけが選択されます。希望としては、4つ下にある紺色の円を素早く選択したいものとします。
Illustrator の初期のバージョンでは、上から順番にロックを掛けていき、4回ロックを掛ければ、紺色にたどり着くというようなものでした。なんともはや...な方法ですね。
新しいバージョンでは、サブレイヤーパレットから探せるようになりましたが、このような簡単な例ではなく、似たようなオブジェクトが多数ある場合などは探すのも大変ですよね。

FreeHand では、Control キー(MAC)を押しながら、5回続けてクリックするだけでたどり着きます。1秒とかかりません。オブジェクトが重なっているときは、いつでもこの操作をするだけで、順番に下のものを選択していくことが出来るのです。最も簡単で、最も素早い選択方法です。(追記:この選択方法は、CS5 以降のイラストレーターで可能になりました。)

さらに、この7つの円がグループ化されているとどうでしょう。
ダイレクト選択ツールで、上記と同様のことをするだけです。ここで大事なことは、いちいちダイレクト選択ツールに持ち替えに行かないことです。ツールの持ち替えは無駄な動作です。FreeHand では、ポインタ+Option キー(MAC)でダイレクト選択ツールに切り替わります。だから、グループになっている対象の、5番目の紺色の円を選択するには、Control キーと Option キーの両方を押しながら5回続けてクリックするだけで良いのです。

さらに、Shift キーも併用できます。例えば、赤と、紺と、マゼンタの3つを選択するには、Control キーと Option キーの両方を押しながら4回続けてクリックし、さらにShift キーを加えて2回クリックすれば、3つの複数選択状態になります。

これらの操作に慣れれば、ポインタのまま他のツールに持ち替えること無く、レイヤーパレットの世話になることも無く、どんなに複雑に重なった対象でも、自在に操作できるようになります。
ちなみに、Illustrator のポインタツールの役割は、もともとは選択操作オンリーでした。(Ver.8以降、バウンディングボックスが付き、スマートカーソルになってから、かなり守備範囲は広がりましたが、それでも、選択操作以外は他のツールに持ち替えることが多いですね)
FreeHand では、編集操作のほとんどが、ポインタツール(とショートカットの組み合わせ)で行うように設計されています。FreeHand の自在な手は、ポインタの自由度そのものなのです。是非マスターして下さい。

ちなみに、FreeHand のバウンディングボックスは、通常は必要ないので表示されていませんが、ダブルクリックで表示されます。グループ内の複数部分オブジェクトや、非グループオブジェクトをグループ的な操作で変更したい際などに活用します。



一部分を選択してから、それが属するグループを抜き出す方法【スーパーセレクト】

Sentaku4.jpg
■上の例では、色の違うグループを5つ重ね、さらに一つにグループ化しました。
今回は、一部分だけを選択し、そのオブジェクトが属しているグループを抜き出してみましょう。Illustrator のグループ選択ツールと同じ機能ですが、ツールを持ち替える必要はありません。

まず、チラッと見えているマゼンタを選択してみましょう。グループ内のオブジェクトですから、Option キー+クリックでマゼンタが1つ選択できます。次に、スーパーセレクトを実行すれば、マゼンタグループが選択できます。さらにもう一度スーパーセレクトを実行すれば全体のグループが選択できます。スーパーセレクトは、ネスト(入れ子)されたグループの階層を辿って行く操作です。(編集メニュー>選択>スーパーセレクト)
昔、ASCIIキーボード(US配列)が標準だった頃は、キーボードショートカット(〜キー)に標準で設定されていましたが、JISキーボードが普及してからは割当キーが無くなってしまいました。(もちろん英語版には標準で設定されています。)ですから、自分で使いやすいキーにショートカットを設定する必要があります。これは効率的に作業するためには必須です。スーパーセレクトのキーボードショートカットを設定して是非使いこなして下さい。



本日のポイント
・FreeHand のドラッグ選択仕様では、触れただけで選択できるのはむき出しのポイントだけです。
・ポイントも、グループ化することで、触れただけでは選択できなくなります。
・グループは、完全に囲った場合のみ選択できます。
・これらは、不用意な選択を回避するための FreeHand の最重要仕様です。
ダイレクト選択ツール切り替えは、ポインタ+Option(MAC)です。いちいち持ち替えに行かない。
 (Illustratorも、CS3(CS2?)から、commandキー(MAC)が同様のショートカットになりましたね)
  ※白ポインタのツールアイコンは、本来不要です。他のアプリケーションとのインタフェース
   共通化の中で加えられたもので、FreeHand のすでに完成されていた操作体系の中では、
   効率を下げ、誤操作を誘発させるだけのものですからパレットからの削除をお奨めしています。
   ツールの削除は、Command キーを押しながらツールをドラッグアウトします。
   ツールの追加は、ウインドウ>ツールバー>カスタマイズ で行います。
重なった下のものを選択するには Control キー(MAC)を併用して順次選択。
・グループ化されたオブジェクト内の重なった下のものを選択するには、Option + Control +
 クリックで順次下のものを選択。
・上記選択操作には、さらに Shift キー併用も可能。
・Illustrator のグループ選択ツールと同機能はスーパーセレクト(要ショートカット設定)


今回は、選択方法と、グループ化の意味合いについて解説しました。こんな基本的な部分から Illustrator とはかなり違っているんですが、Illustrator ユーザーの方はどのように感じられるのでしょうか?
慣れたものが一番良いというのも正論だとは思いますが、FreeHand の操作性の良さは、初期バージョンから大変評価の高いもので、クリック回数やマウスの移動距離を数値化して比較すれば、ほとんどの作業が Illustrator の半分ほどの手間で出来ると言わしめた完成度の高いものです。是非、自在な手としてマスターされんことを!

次回は、何度か紹介していますが、円ツール、四角ツール、多角形ツールが持つ形状属性について説明します。
形状属性も、Illustrator には概念そのものがありません。考え方のどこが違うのかを解説します。
FreeHand と本気で取り組んでみようとお考えの方、おつきあいください。

 →入門編-その3 アップしました。




※キーボードの、コマンド、option、control 表記は、MACのものです。WINの場合は表記が異なりますので推察して下さい。マウスクリックも、2ボタンの場合 操作が変わるようです。



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