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FreeHand の使い方-4 <マスク、複合パスなど> [FreeHandで行こう!]

FreeHandで行こう!】その8(使い方-4)です。
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FreeHand 使い方 連載中。 今回は 使い方-4です。
ガイド本やネット上の情報も少ないですから、関心ある方のお役に立てれば幸いです。

Graphic_Sample.jpg
■今回の作例は、グラフィックデザインです。やはり、グラデーションとブレンドの組み合わせが基本です。
4m×2.7mの壁面用作品として制作したものです。

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今回は、「マスク」と「複合パス」、「ロック」、ユニークなパレットについてお話ししましょう。


■マスク(内部にペースト)

写真のトリミングや、オブジェクトの部分的な表示等に使われる「マスク」は、Illustratorでの呼び名であり、FreeHandでは「内部にペースト」というコマンドになります。「内部にペースト」は、その名称の通り、マスクとなるべきオブジェクトの中に放り込む(ペースト)感覚の操作です。
Photoshopの「選択範囲内へペースト」に似ていると言えばわかりやすいでしょうか。

操作方法は、マスクとなるべきオブジェクトに、ペーストしたいオブジェクトを重ねて位置決めし、ペーストしたいオブジェクトをカット(コマンド-X)、マスクとなるべきオブジェクトを選択し、「内部にペースト」を実行します。


Illustrator のマスクと、FreeHandの「内部にペースト」の違う点は、以下の通りです。

・マスクの属性を維持できる。
Illustratorのマスクは、属性が設定されていても削除されるという仕様になっていますが、FreeHandでは属性を維持することも、削除することも自由です。

・何重にも重なったマスクが簡単に制作可能。
Illustratorでも不可能ではありませんが、マスク属性を維持できないため属性を再指定する必要があることや、マスク内のオブジェクトに直接マスクをかける事が出来ないため、何重にも重なったマスクを作成するには大きな手間がかかることになります。FreeHand なら、何重にネスト(入れ子状態に)されていても、そのような制約はありません。

・マスクの中身を不用意に選択しない。
Illustratorのマスクの中身は、常に選択可能状態になっている為、不用意に触ってしまうことが多いようです。何重にもマスクを重ねるとなおさら大変なことになりますね。

MASK.gif

上の例では、星形の中に、マゼンタの四角をペースト、その中に黄色の円をペースト、その中にグレーの四角をペースト、グレーの手前に赤の四角をペースト(前面にペーストコマンドを使用)、赤の四角の中に青の丸をペースト、青の丸の中に白の星をペースト。10秒とかかりませんね。どんなに複雑なマスクもただ放り込んでいくだけで作成できるからです。

この中でも前後関係は成立していますので、例えば、赤の四角を選択し、重ね順>背面へ で、グレー四角の後ろに移動させることも出来ます。内部のオブジェクトを選択するには optionキーを使用してください。(使い方-1のポインタの使用方法参照ください。重なって見えないオブジェクトがあっても、controlキーで選択することも出来ます。:いずれもMACの場合。WIN は、キー配列の違いや、2ボタンマウスのために操作方法が異なります。)

FreeHandの「内部にペースト」は、中身のオブジェクトを選択する際、optionキーを併用する為、通常の操作中は、不用意に選択されてしまうということもありません。

属性を活かしたままマスクが作成できる、中身にペーストするだけ、ツールを持ち替えずにダイレクト選択できる、、、という FreeHandのシンプルな仕様と操作性で、このような複雑なマスクも、いとも簡単に作れてしまうのです。


■複合パス

Illustratorの複合パスには、「パスの向き」制約があるため、3つ以上のオブジェクトを重ねた状態では、正常に複合パスを作成することは出来ません。(窓抜きできない部分が発生。下図参照)
Path.gif
FreeHand は、3つ以上の複数個(たとえ何十であろうとも)でも正確に複合パス化できます。
さらに、ダイレクト選択(オプションキー使用)でオブジェクトを個別に選択し、簡単に重なり具合を変更することができます。
訂正とお詫び: 上記、Illustrator の複合パスに関する「パスの向き制約」は、新しいバージョンの Illustrator では回避策が用意されていました。確認した限りでは、Ver.10以降、複合パスに対し「奇偶規則を適用」すれば、FreeHand 同様の正確な複合パスが作成できるように改善されています(Ver.9は未確認・Ver.8以前にはその機能はありません)認識不足であった事をお詫びします。 それにしても、デフォルトの複合パスは上記のままです。
Illustrator は、バージョン毎に頻繁に仕様変更する割りには、複合パスのデフォルトはそのままにして回避策だけこっそり用意し、アナウンスもしないのはなぜなんでしょうね。今まで気が付きませんでした。
さらに言えば、InDesign で作成する複合パスは、Illustrator とは違った表示になります。正常表示でもありません。Illustrator の複合パスをInDesign に割り付けると一部トラブルの元になる事が報告されていますので、この辺りの仕様差かもしれません。ご注意を。ちなみに、3者の差は以下のようになります。 Joint_Path_2.jpg
追記:Illustrator が、奇遇規則をデフォルトにしないのは、他に問題を抱えているからのようです。例えば、ナイフでうまく切れないとか、操作しているうちに破綻するとか....複数の要件に対して、まだ技術的にクリアできていないようですね。FreeHand と同様に..とまではいかないようです。



■ロック

Illustratorのロックは、触ることも、選択することも出来なくする仕様ですが、FreeHandのロックは、触ることは出来ないが、選択することは出来ます。
この仕様は、「整列」操作時に多いに役立ちます。基準としたいオブジェクトだけをロックし、他と一緒に選択→整列させれば、ロックされたオブジェクトを基準にして整列が実行出来るからです。

また、Illustratorのロック解除では、すべてのロックが解除されてしまい、ロックしたままにしておきたいものまで解除されてしまいますが、FreeHandのロック解除は個別に設定・解除できます。一括解除の場合は、すべてを選択(コマンド+A)し、ロック解除します。



■整列パレット

整列操作の話が出ましたので、FreeHandのユニークなインターフェースをご紹介しましょう。

Paletto.jpg

FreeHandの整列パレットは、ユニークです。
グリッドスペースをクリックすることで、目的の整列操作を選択します。クリックするだけで、どうすれば良いのかすぐにわかるでしょう。均等配置の場合は右のメニューから選びます。グリッドのクリックで均等配置をキャンセルするには、4辺の台形部分をクリックします。

上の画像左のようにツールパレットによく使うパターンを常駐させることも出来ます。
設定方法は、メニューバー>ウインドウ>ツールバー>カスタマイズ です。
ツールバーのカスタマイズには、思いのほか多くのツールを見つけることが出来るでしょう。
Tool.jpg
■ほんの一例です。およそ全ての操作に対して、解り易いアイコンが用意されています。

自由にカスタマイズして使いこなしてください。(ツールパレット、インフォメーションバー等に追加できます。ツールの削除は、ツールが選択できる状態のときに、コマンドキーを押しながらドラッグアウトします)


いかがでしょうか。いかに、FreeHandの基本操作体系がよく考慮・配慮されて設計されているかがわかると思います。
次回以降も、Illustratorとの違いを説明していきます。  使い方-5に続く...


追記:INDEX(目次)を作成しました。 →INDEXはこちら
追記:総集編を作成しました。 →総集編はこちら



※キーボードの、コマンド、option、comtrol 表記は、MACのものです。WINの場合は表記が異なりますので推察して下さい。マウスクリックも、2ボタンの場合 操作が変わるようです。






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