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四方山話 FreeHand [FreeHandで行こう!]

【FreeHandで行こう!】その4です。           →その1 その2 その3 はこちら
優れたデザインアプリケーションでありながら、Illustratorに機能統合・開発終了という不当な扱いを受けることになってしまった FreeHand の、知られざる魅力を紹介しています。

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■過去、雑誌などにも FreeHand の紹介記事を書いてきましたが、そんな仕事も無くなってしまいました。
 興味ある方は、弊社サーバーに、当時の原稿PDFをアップしてますので、ご覧いただければ幸いです。

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今回は、少し側面から、FreeHandを紹介したいと思います。

DTP標準の汎用フォーマットである EPS や、文書ドキュメントの PDF は、ポストスクリプト開発メーカーであるADOBE社が開発したフォーマットとして知られます。
一方、汎用画像のフォーマットである TIFF や PNG、FLASHの配信フォーマットである SWF は、FreeHandの系譜、ALTSYS、ALDUS、Macromedia社の FreeHand 開発グループが開発してきました。


現在、FLASHの配信フォーマットで知られる .swf も、もともとは FreeHand の拡張ファイルフォーマットでした。
Shock Wave FreeHand ... FreeHand のベクターデータを、画像化せず、そのままWEBに配信するための画期的な技術がそれです。(現在の.swf は、Shock Wave Flash(又は Small Web Format)の略と解釈されているようです)

get_shockwave_freehand.gif← Get Flash の前身 Get ShockWave FreeHand のアイコン


もともと、FreeHand は、Illustratorより早くに、ドローアプリケーションとして開発されていました。
当時の内部処理は、Quick Draw(Macintosh 用ページ記述言語)ベースだったと言われています。
後に、ポストスクリプトベースに書き換えられ、Illustratorとしのぎを削ってきたという訳です。
バージョン3の頃までは、世界シェアを2分していたと言われています。

しかし、バージョン4の時代、ADOBE社が当時のFreeHandの販社である ALDUS社を買収。
FreeHand の機能を Illustrator に統合しようとしたところ(結局、独禁法で裁判に敗訴したADOBE社は機能統合を断念、FreeHandの開発権を開発元のALTSYS社に返還、その後 ALTSYS 社はAuthorware社、Macromind 社と共に、Macromedia社を共同で設立)から、買収騒動で将来性に危惧を持たれた FreeHandのシェアが低下しはじめたと言われます。

その買収騒動の頃、FreeHand のオリジナル開発者も ALTSYS社から離脱し、ベクターアプリケーションの新しい可能性を模索していました。FutureSplush Animatorという、今までに無かったベクターベースのアニメーションソフトを開発。それこそが、後のFLASHです。

それら FreeHand 系譜の開発者は、再び Macromedia 社に再結集、またしてもADOBE社を脅かす存在へと育っていくのです。

Shock Wave FreeHand は、Ver.5.5時代(1996年)に発表。当時の仕様は、WEB上で解像度に依存せずに FreeHand ドキュメントを拡大・縮小できるというものでした。ほどなく、FLASH Ver.2では、その拡張版としてタイムラインを内包し、アニメーションに対応したSWFとして発表します。
その頃から FreeHandは、DTPから WEBにも対応する、マルチパーパスソフトへと変貌していくわけですが、世間の認識は、あくまでもIllustratorと同じジャンルのDTPソフトという域から出ず、FreeHandならではの新しい機能は正確には理解されないままバージョンを重ねていくことになります。

Illustratorもバージョンを重ねていましたが、DTPソフトとしては、バージョン5.5が当時の業界標準となり、バージョン7などは ほとんど普及しなかったようです。(現在でも、業界標準は Ver.8で止まっています)
すでに DTPの分野では、保守的な気運が支配的となり、あまり新機能には関心が持たれなかったのかもしれません。様々な新機能をどん欲に開発していたFreeHandが、結局 保守的なDTP分野のソフトとして見られてしまったことに、高機能の数々が あまり知られないまま終わってしまった悲劇が見て取れます。

最終バージョンとなった、FreeHand MX は、ひょっとして、Illustratorユーザーよりも、FLASHユーザーが見た方が、驚きを感じるのではないかという内容になっています。しかし、残念ながら、FLASHユーザーの多くも、Illustratorを使っているという事実に、愕然としてしまうのです。WINDOWS と MACのシェア以上に開いてしまったIllustrator と FreeHand のシェア差は、同じ開発グループが作っていた親和性の高いアプリケーション同士にも関わらず、FLASHと連携の悪い他社製品の Illustrator との組み合わせで使われているというのが現実でした。

結局、ADOBE社は、FLASHとの連携を強めるために、Macromedia社をも買収してしまい、CS3発表の日に、FreeHand開発終了を発表してしまいました。FreeHandは、5年前のバージョン MXが最終バージョンになってしまいましたが、FreeHandのDNAは、FLASHや、FireWorks、さらには、いずれIllustratorにも新機能として取り込まれて生き続けるのでしょう。
FreeHandユーザーとしては、寂しさは否めませんが、すでに仕方のないこととして受け入れるしかないのです。

しかし、【どっこい FreeHand は生きている】【こんなにちがう! FreeHand】【知らぬは損! FreeHand】で書いてきたように、まだまだFreeHandの方が優れていると確信し、私はFreeHandで勝負していく決心です。

このブログシリーズを書くようになってから、検索ワードに FreeHand を打ち込んでいる人も少なからずいることを知りました。(FreeHand + 使い方)という検索ワードで当ブログに来られた方も大勢います。
次回以降は、いよいよ、FreeHand の使い方を書いていこうと考えています。
まだまだ Illustratorより優位性の高いソフトです。興味ある方は、ぜひ使ってみて下さい。  その5に続く



追記:INDEX(目次)を作成しました。 →INDEXはこちら
追記:総集編を作成しました。 →総集編はこちら

 FreeHand のことはよく知らないが、とりあえず興味を感じたという方は是非、総集編をご覧下さい。
 Illustrator しか知らないあなたは、驚きのアプリケーションパワーを目の当たりにすることでしょう。



追記2008年11月 ついにと言うか、ようやく、Illustrator CS4 に FreeHand と同じ仕様のマルチページが採用されました。FreeHand を買収しての、まんま移植ですが、呼び名は「複数のアートボード」。出来るだけ Freehand のマルチページをそのまま持ってきたと言うようには悟られたくないんでしょうが、同じものです。その証拠に、FreeHand のマルチページが、位置関係もそのままに開きましたから。
但し、マスターページやリンク機能、.swf読込みなどには未対応です。まぁ、ようやく同じ土俵にたどり着いたと言うところですね。詳しくはこちらで




本文は、伝え聞いた話、うろ覚えの部分もありますので、史実を正確に反映していない可能性がありますことご了承下さい。