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Free FreeHand による ADOBE 訴訟の顛末 [FreeHandで行こう!]

Free FreeHand(世界的な FreeHand ユーザーグループ)による ADOBE 訴訟に結果が出ました。
訴訟にいたる経緯についてはこちらをご覧下さい。
また、サイドメニュー「外部リンク集」に momo様が翻訳下さった Free FreeHand からのニュースレター 一覧がありますので、時系列で訴訟の状況を確認いただけます。

裁判にあたっては、私も FreeHand ユーザーとして製品シリアルナンバーを提示し、連名サインしました。
結果からいうと、それなりの要求は通ったとはいえ、ADOBE にうまく丸め込まれてしまったと言うところでしょうか...。煮え切らないものが残りました。


もともと、Free FreeHand(というか、全世界の FreeHand ユーザー)の願いはシンプルなもので、
FreeHand を、ずっと使い続けたい 』という、たったそれだけの、いじらしい気持ちだけなのです。
だから、当初は裁判沙汰ではなく、ユーザー陳情と言う形で ADOBE にアプローチしていました。

Adobe CEOに対して、1000通ものポストカードで世界中の FreeHand ユーザー 一人一人からの願いを届け、
またユーザーグループからの再三の陳情にもかかわらず、ADOBE は全くの無視を決め込んだため、やむなく訴訟に踏み切ったと言う経緯があります。

開発が停止されて間もなく9年。通常のPCアプリケーションなら、その存在も忘れられてしまう程の歳月が流れてなお、世界中に現役 FreeHand ユーザーが、おそらく何万人という単位で現存する事実。
そして、そのユーザーグループが結束して ADOBE を動かそうとしたことは、FreeHand が今なお輝きを失わない魅力を放っているからに他ありません。
当ブログでは、FreeHand の魅力を訴えてきました。FreeHand についてあまりご存知で無い方は、是非 総集編続総集編 だけでもご覧になってください。


訴訟の大要としては、
1)FreeHand が将来的にも使えるよう、OS対応などのアップグレードを要求
2)ADOBE にその気が無いのなら、FreeHand の開発権利の放棄を要求。

と言うものでした。
1)は、Illustrator に開発資源を集中させる方針で拒否。
2)に関しては、もともと ADOBE が FreeHand を買収した大きな理由として特許の取得があった訳ですから、すでに多くの特許技術を Illustrator に移植したとはいえ、大元の特許の源泉である FreeHand を手放すことなど絶対に有り得ないんでしょうね。なので頑に拒絶。

一縷の望みとして、独禁法違反の部分で強制的に取り戻せる可能性もあったわけですが、裁判慣れした ADOBE は一転調停に持ち込み、和解と言う形で決着させてしまいました。

立場が悪くなると調停に持ち込み、和解の道を選ぶと言うのは、、、そう、Illustrator が FreeHand との特許裁判で負けた際、刑の執行を逃れるため(Illustrator の機能から FreeHand の特許部分を削除するのを逃れるために)和解取り引きに入り、あろうことか和解の後、裁判で勝った側の Macromedia を負けた側の ADOBE が資金力で買収してしまったというとんでもない歴史的事実がありましたね。当時のことを思い出してしまいました。


今回の和解内容は、
1)今後の Illustrator 開発に、Free FreeHand が指定するメンバーとの議論・内容を反映させること。
2)Free FreeHand メンバーに登録している人に対して ADOBE 製品を安く提供すること。
で決着したようです。


早速、私のところにも ADOBE から訴訟取り下げの電子署名を求める通知がありました。(全て英文)
訴訟に関する一切の権利を放棄するのと引換に、製品ディスカウントコードを発行するとも書かれていました。
ADOBE オンラインストア価格から199〜399ドル分ディスカウントするというものでした。

Illustrator CS6 のアップグレード価格 249ドルから199ドルディスカウント(支払額約4000円)なら、買ってやっても良いかなと思っていましたが、電子サイン後に届いた契約文書には、括弧くくりで (non-upgrade) とありました。(勿論、サイン前の文章にはそのような表記は無し)

  なめとんか!

初購入扱いの製品版から199ドルディスカウントなら、通常のアップグレード版よりもずっと高いやんけ!
一応、Illustrator の正規ユーザーでもあるのに、誰がアップグレード料金より高いディスカウント料金の方で買うんだってんだ?!?
ディスカウントが和解の一つの条件であり、訴訟放棄のサインまでさせておいて、この対応はなに??


これが ADOBE のやり方なんですね。
Illustrator の開発に FreeHand ユーザーの意見を反映させるという和解条項も、全く期待出来ない。

まったく、ADOBE って...



同様の怒りを、momoさまも書いておられます。
ただ、momoさまが凄いのは、
「Illustratorを使えないから使わない」
と負け犬の遠吠え的なスタンスに甘んじるのは心情的にも絶対に我慢がならないので
と、Illustrator をこのレベルでまで使いこなした上で、下記のように主張されています。

momo_Illustrator.jpg片方が Illustrator
描いて
描けないわけじゃない。

でも
描きにくい。
重い。

そして何より
描いていて楽しくないのです。
描きたい気持ちがどこかにとんでいってしまいそうになります。


momo様は、FreeHand と Illustrator の決定的な違いを最後の2行で言い切ってくれていると思います。

  他にも、momoさまは素晴らしい技術で沢山の習作を作られています。→ご案内



FreeHand の 64ビット対応の可能性が完全に断たれ、
いずれ全ての PC環境で動かなくなってしまう日が来ようとも、
それまで現役で使える限りは、FreeHand を孤高のビンテージソフトとして私は実務で使い続けます。
私は、最後の最後まで、FreeHand ユーザーとしての誇りを失うことはありません。

「 FreeHand で行こう!」

まだまだ、続けていきます。









***

シリーズを続けています。初めてお越しの方は、総集編か、カテゴリーTOP(旧い順)からご覧下さい。
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***



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コメント 4

momo

私も絶対にできる限りFreeHandを使い続けていくつもりです!
なぜなら、私にとって、FreeHandのほうがすぐれていて、そしてFreeHandを使った方がいい仕事ができるから。
私も誇りを持って心からそう言い切れます!
by momo (2012-07-14 09:05) 

aspect

momoさま ありがとうございます。
私たちの言葉が、負け犬の遠吠えに聞こえるという方には、
あなたの知らない素晴らしい世界があるんですよって、心から教えてあげたいですよね。
少なくとも、私たちは両方の世界を知っていますから。

選択肢も無いプロの道具って、どうよ。
プロの道具だからこそ、見極めてから使いたいものです。

by aspect (2012-07-15 03:30) 

Adobeユーザー

今思いついたのですが、freehandユーザー達でfreehandを動かす専用OSの開発をしてみては如何でしょう?
freehandユーザーの結束力なら容易いことだと思います。是非とも頑張って下さい
by Adobeユーザー (2013-01-09 14:25) 

aspect

Adobeユーザー様 コメントありがとうございます。

OS対応ということでは、Windows 8 でもまだ動くようなので
なんとか当面は大丈夫なのですが、
20年以上 MAC環境で デザイン・DTP やって来た私にとっては、
MAC OS で動作することの意味合いこそが重要なんですよね。

取りあえず、G5 と SnowLeopard マシンを末永く温存する為にも、
日常のメール確認やネット検索、負担の大きい動画編集には
別の Mountain Lion マシンを使うように役割を振り分けました。

Adobeユーザー様は、恐らくADOBE 製品中心に使われているんでしょうね。
製品の出来はともかくとして、殿様商売の ADOBE のやり方はどう思われます?
まぁ、見るスタンスによって意見に個人差はあるもんですけど、
私などは、リーダーカンパニーなればこそ、
もう少し業界やユーザーのことを大事に見てほしいなと
思ってしまうんですよね。


by aspect (2013-01-09 20:11) 

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