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知らぬは損! FreeHand [FreeHandで行こう!]

【FreeHandで行こう!】その3です。           →その1 その2 はこちら
優れたデザインアプリケーションでありながら、Illustratorに機能統合・開発終了という不当な扱いを受けることになってしまった FreeHand の、知られざる魅力を紹介しています。

あまり知られてこなかったFreeHandの高機能の数々は、いずれは Illustrator にも採用されていくのでしょう。
(今回の統合で CS3 に採用された新機能の多くは FreeHand のものですが、きわめて枝葉的なものでした)
FreeHandは、Illustrator の将来の姿を垣間見せるという意味でも、まだまだ興味深い存在であると考えます。
Illustrator ユーザーの方にこそ、ぜひ再認識して頂きたい。

MINUMA.jpg
■上記画像は、前回に続き マルチページ機能の紹介編です。140ページのFLASH用ドキュメント。ページ間相互リンク。
 FreeHand 9 時代(8年前)に作成したものです。サイトマップ的にページを俯瞰しながら作業できます。
 マルチページ機能は、ページの位置関係、サイズ、縦横の向き等も、個々自由に配置することができます。

***

前回紹介した FreeHand の標準機能【マルチページ、マスターページ、ページ間リンク、SWF配置、アクションスクリプト記述】...の数々は、最新バージョンの Illustrator CS3 でも、まだ どれひとつとして実装できていない FreeHand ならではのものです。(これら機能を実現させるためには、大幅な仕様変更が必要でしょうから... 時間が必要でしょうね)

..が、Illustrator ユーザーは こう言うかもしれません。ページ物の仕事は Quark Express や InDesign と連携するから Illustrator にマルチページ機能は必要ない。FLASHの.swfを読み込ませるというような必要性は感じたことも無い、、と。

ホントにそうでしょうか? 私に言わせれば、この有用な機能を知らないだけ、生産性の高さに気がついていないだけと断言できます。

例えば、手頃なページ数(20ページぐらい)の冊子をDTPデータで作るとしましょう。
Illustratorでページデザインする場合、見開きで作成しても 10ファイルの管理が必要になります。
頻繁にデザイン変更が発生し、フォーマットが変更になったり、ページ構成が変わる度に対応に手間取ることが予想されますし、長文のTEXTが複数ページにまたがる場合は対応すら ままならないでしょう。また、Illustratorは、TEXTが長文になると、1ページのレイアウトでも動作速度に影響が出てしまいますね。1ドキュメントの中に数万文字というようなTEXT量になる場合のことなど 考えただけでもゾッとしませんか?

FreeHand ならどうでしょう。 Illustratorと同等以上のドロー機能を持った上で、Quark や InDesign のような数十ページの構成ができるマルチページ機能を持ち、長文TEXTもページをまたいでリンクさせることができます。もちろんTEXTが数万文字になってもサクサク動く。マスターページ機能でレイアウトの変更にも柔軟に対応できるのです。
Illustrator と Quark などを組み合わせた場合、アプリケーション間を行ったり来たりする必要がありますが、FreeHand なら全て FreeHand 内で完結します。

(もちろん、複数ページもののデザイン以外にも、マルチページは有用です。デザイン案を複数作成するのは当たり前。
 そのような場合にも、マルチページドキュメントなら 属性やシンボルを共有した1ファイルで済む訳ですから。)

TEXT検索も、複数ページでこそ有用性が高くなりますが、加えて FreeHand には グラフィック検索置換機能やシンボル機能もあるため、全ページ一括のグラフィック変換等も瞬時にやってのけます。
DTPデザイナーの多くは、20ページぐらいのページレイアウトものなら Illustratorで済ませてしまうことが多いようですが、そもそも、単ページ向けのイラスト作成ソフトで限界を感じてはいないのでしょうか?

生産性の差、デザイナーの負担の差は、想像以上に大きなものがあります。
まぁ、人海戦術でページ単位の作業分担をする場合などは、ファイル数を増やすというのもひとつの方法ではあるのでしょうけれども...。

ADOBEは、Illustratorを FreeHand のようなマルチページ対応にすることを、検討しては見送ってきたようです。
なるほど、自社製品に InDesign の存在があるため、Illustratorは単独ページのままで と見送って来たのでしょう。
しかし、そういった自社の都合による棲み分けは、ユーザーのメリットを無視しているように見えます。
 (技術的に Illustratorの動作速度が遅いというのも足かせになっていたかもしれませんが)

Macromedia社を買収したことで、FLASH や FireWorks との連携を本気で考えていくのであれば、今のIllustratorの仕様のままでは中途半端な連携しかできないのは明白です。FLASHも、FireWorksも、多くのシーンを1ドキュメント内に包含するソフトですから。 少なくとも私は、5年前の FreeHand MX が持っていた機能と同等レベルになるまでは、Illustratorをメインアプリケーションにすることは考えないでしょう。

FLASH との連携という話になれば、今回の CS3 は、ようやくファイル読み込みやコピーペーストに対応したレベルです。
5年前の仕様の FreeHand MX は、当時、すでに .swf ファイルを配置することができ、アクションスクリプトを読み込んで実行することも、追加記述することもできました。外部SWFからFreeHandのマルチページにリンクを張ったり、FreeHand から FLASH や FireWorks(もちろんPhotoshopも)を立ち上げて同時に編集・反映させることも出来たのです。

FreeHand は、今なお、FLASH や FireWorks との連携でも、DTP使用に於ける生産性の高さでも、ADOBE社が Illustrator に想定している以上の機能を維持しています。(少なくとも私はそう確信しています)

【FreeHand で行こう!】は、決して懐古趣味でも、ひねくれ者の負け惜しみでもない、アスペクトデザインの生き様、こだわりであると宣言しておきます。

次回は、前回予告していた、少し側面から見た話もしてみたいと思います。  その4へ続く


追記:INDEX(目次)を作成しました。 →INDEXはこちら
追記:総集編を作成しました。 →総集編はこちら

追記2008年11月 ついにと言うか、ようやく、Illustrator CS4 に FreeHand と同じ仕様のマルチページが採用されました。
FreeHand を買収しての、まんま移植ですが、呼び名は「複数のアートボード」。出来るだけ Freehand のマルチページをそのまま持ってきたと言うようには悟られたくないんでしょうが、同じものです。その証拠に、FreeHand のマルチページが、位置関係もそのままに開きましたから。CS4には他にも移植された機能は盛りだくさん。
冒頭に書いたように、やはり FreeHand は、Illustrator の未来の姿だった訳です。ADOBE が、執拗に FreeHand に買収をかけ、お蔵入りさせたかったのは、Illustrator にとって FreeHand が目の上のたんこぶだった事に他ならなかったという事ですね。
但し、マスターページやリンク機能、.swf読込み、アクションスクリプト記述など、当記事で紹介している多くの拡張機能については現状未対応です。
FreeHand は、まだまだ Illustrator の未来の姿を提示し続けます。次期バージョン以降で徐々に追いついてくるという感じでしょうか。 現状、ようやく同じ土俵にたどり着いたと言うところですね。
詳しくは こちら <FreeHand VS CS4>

追記2010年04月 ますます FreeHand に似通ってきた Illustrator CS5。もう、なんか笑っちゃいます。
ポストスクリプト以外の技術は、ほとんど他所から買収してきたものですからねぇ。まぁ、製品を高く売らないと回収出来ないのも、買収製品を門外不出にしないといけないのも うなずけるというものです。
詳しくは こちら <FreeHand VS CS5>



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